韓国の人気英語講師チョ・ジョンシク氏が、現職高校教員らとの模擬試験問題の不正取引に関与した疑いが浮上し、波紋を広げている。
そんな状況でも、チョ氏は出演予定だったバラエティ番組『ティーチャーズ2』(原題)の収録に参加するという。
6月10日、韓国の調査報道メディア「シャーロック」は、チョ氏が現役の高校教員Aから模試用の問題を約5800万ウォン(約580万円)で購入していたと報じた。
Aは2018年から2023年にかけてチョ氏を含む11の予備校と問題を取引し、総額で約2億3800万ウォン(約2400万円)を得ていたとされている。
このような内容は、監査院が今年2月に公表した「教職員による私教育市場への関与に関する監査報告書」で明らかになったもの。報告書によると、Aは2020年11月に学習塾大手のメガスタディから模試の出題依頼を受け、その過程でチョ氏に問題を供給する業者と連絡を取り、最初の10問分としてチョ氏が200万ウォン(約20万円)を支払ったとされる。
さらに別の教員Bも、大学修学能力試験や模試の解答・解説情報をチョ氏に提供していた疑いが持たれている。最終的に、計21人の現職教員がチョ氏との不正な問題取引に関与していたことが判明した。
韓国では、現職教員が学習塾向けに教材や問題を提供する行為は、2016年以降、法的に禁止されている。違反した場合、免職や停職などの懲戒処分を受けることがある。兼業も原則的に許可されておらず、教育界全体を揺るがす重大な倫理違反と見なされている。
チョ氏は監査院に対し、教員との取引の事実を認めている。その理由について「EBS教材(韓国教育放送公社が制作する教育コンテンツ)の執筆経験をもとに、より本番に近い高品質な問題を求めた結果だった」と説明したという。
今回の問題は、韓国の熾烈な受験競争と、それを支える“イルタ講師”の影響も無視できない。
イルタ講師とは、各教科で圧倒的な人気を誇るスター講師を指す。特に、ソウル・江南(カンナム)の有名予備校に所属するイルタ講師は、年収が数億~数十億ウォン(数千万円~数億円)に達することもあり、学歴社会の韓国では“教育界のセレブ”としてメディア出演や出版活動も盛んに行っている。
保護者や受験生の間では「イルタ講師の授業を受けられるかどうかが合否を左右する」とまで言われることから、その地位と影響力は絶大だ。その一方で、人気講師による不適切な教材流通や教育倫理の軽視が、たびたび問題視されてきた。
警察庁・国家捜査本部は5月17日、問題を取引した現職教員72人を検察に送致し、さらに126人を立件、うち100人を起訴送致したと発表している。
チョ・ジョンシク氏は、メガスタディ所属の英語講師としてイルタ講師の地位を確立し、tvNの人気番組『ユ・クイズ ON THE BLOCK』などにも出演するなど、高い知名度を誇っていた。現在は、チャンネルAの教育バラエティ『成績をお願いします-ティーチャーズ2』に、数学のイルタ講師チョン・スンジェ氏とともにレギュラー出演している。
13日には出演者によるメディアラウンドインタビューが予定されており、チョ氏も参加予定だ。今回の問題について、番組や本人からどのような説明がなされるのか、注目が集まっている。
(記事提供=OSEN)
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