韓国人気芸能人も服務したことで知られる韓国海兵隊が、ついに制度的な独立に向けて動き出した。
これまで海軍の下部組織として扱われてきた海兵隊を、法的にも“第4の軍”として位置づけようという動きが始まっている。
6月10日、韓国国会の国防委員を務める「共に民主党」のホ・ヨン議員は、海兵隊を海軍から実質的に独立させることを目的とした、いわゆる「海兵隊独立5法」を代表発議した。
この法案には、海軍と海兵隊の組織を分離する「国軍組織法」改正案や、海兵隊に独自の兵科を設けて制度上の4軍体制を構築する「軍人事法」改正案が含まれている。さらに、海兵隊検察団の新設を盛り込んだ「軍事裁判所法」、軍需物資の管理主体に海兵隊を追加する「軍需品管理法」、そして国防体制の見直しを目的とする「国防改革法」の一部改正案まで、広範な制度改革を網羅している。
韓国海兵隊は1950年に創設され、朝鮮戦争や北方領域の防衛などで国家安全保障に大きく貢献してきた。
一方で、1973年に朴正煕(パク・チョンヒ)政権下で司令部が海軍内に統合されたことにより、法制度上は海軍の一部として扱われ、発言権や装備調達の面で制限を受けてきたという指摘がある。
ホ議員は、「今回の法案は単なる組織再編ではなく、司法・人事・軍需の制度全般において海兵隊の独立性を確保する構成になっている」と強調している。
韓国海兵隊は、その過酷な訓練と高い忠誠心で知られ、芸能界からも複数の著名人が志願して入隊してきた。たとえば、俳優ヒョンビンは2011年に志願し、海兵隊第1137期として服務。2012年には模範兵士として表彰されて除隊した。また、Block BのP.Oは2022年に海兵隊軍楽隊に入隊し、2023年に除隊。さらに、音楽デュオAKMUのイ・チャンヒョクも2017年に海兵隊へ入隊し、2019年に除隊している。
こうした海兵隊の実績と国民的信頼を背景に、今回の法案は李在明(イ・ジェミョン)大統領が掲げる「海兵隊の準独立軍再編」公約を後押しするものとして注目を集めている。
ホ議員は「韓国の安全保障に大きな貢献を果たしてきた海兵隊の地位向上と士気の向上は、時代の要請だ」と語り、「実質的な4軍体制の確立が、より強固な国防力につながる」と訴えている。
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