韓国のテレビ局MBCが突然この世を去った気象キャスター、オ・ヨアンナさんに対する職場内いじめの騒動について謝罪の意を示し、組織文化の改善を明らかにした。
しかし、加害者の一人と知られるキム・ガヨンは依然として生放送に出演し続けており、謝罪の真意に疑問が残っている。
MBCは5月19日夜、『ニュースデスク』を通じて、オ・ヨアンナさんのいじめ事件について報道した。MBCは、雇用労働部(日本の厚生労働省に相当)による特別労働監督の結果を受け、故人が労働基準法上の「労働者」には該当しないものの、いじめと見なされる行為があったという結論を認めた。
これにあわせてMBCは公式コメントを発表し、「故オ・ヨアンナ氏に対するいじめ行為があったという雇用労働部の判断を重く受け止める。関係者に対する措置とともに、組織文化全般の改善を図っていく」と明らかにした。
さらに、「『共生協力担当官』を新設し、フリーランス間、非正規職間で発生した問題も、当事者や第三者がすぐに通報して是正できるようにする。フリーランスの一部に対する労働者性の判断については法的検討を経て、速やかに妥当な措置を実施する」とし、「故オ・ヨアンナ氏の痛ましい出来事について遺族の皆様に改めてお詫び申し上げる。故人のご冥福をお祈りする」と伝えた。
これまでオ・ヨアンナさんの事件について報道してこなかったMBCは、いじめ行為を認め、今後の対応策まで言及した上で、頭を下げた。また、同日放送の『ニュースデスク』の天気予報は、故人の同期であるクム・チェリムキャスターが担当した。
クム・チェリムは、職場内いじめの状況が明らかになったグループチャットに参加していなかった人物で、今回の事件では加害者として言及されていない。そのため、今後の天気予報の編成方針にも関心が寄せられていた。
しかし、翌5月20日の朝に放送された『ニューストゥデイ』では、加害者の一人として言及された気象キャスター、キム・ガヨンが登場し、天気予報を担当した。続く『12 MBCニュース』の天気予報は、同じく加害疑惑のある気象キャスター、イ・ヒョンスンが担当した。
MBC側は謝罪とともに今後の対応策を示したが、キム・ガヨンとイ・ヒョンスンを降板させることなく、そのまま起用し続けている状況だ。
MBCが遺族によって「主な加害者」と指摘された人物のみを降板させるのか、あるいは気象キャスター全体の再編に踏み切るのかに注目が集まっていたが、変わらぬ出演が続いていることで、謝罪の真意に疑念の声が上がっている。
なお、オ・ヨアンナさんは2021年からMBCの気象キャスターとして活動していたが、2024年9月に28歳という若さでこの世を去った。当時、正確な死因は公開されなかったが、故人の携帯電話から職場内のいじめを訴える手書きのメモ、日記、録音ファイル、カカオトークのやり取りなどが見つかり、事件が公に浮上した。
(記事提供=OSEN)
◇オ・ヨアンナさん プロフィール
1996年4月30日生まれ。韓国・光州出身。ソウル芸術大学の文芸創作科を卒業。一時はアイドル練習生を目指し、2017年に行われたJYPエンターテインメントの練習生13期公開オーディションに参加。「Hermoso Beauty賞」を受賞し、副賞として3カ月の受講券を受け取った。同オーディションの同期にNiziUのマコ、Stray Kidsのスンミン、元FANATICSのユンヘなど。以降、2019年5月に行われた韓国の伝統美人を選抜する「全国春香(チュニャン)選抜大会」で「スク」に選出。2021年、地上波テレビ局MBCの気象キャスター公開採用に合格し、同局で活動を続けた。しかし2024年9月15日、28歳でこの世を去った。
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