固い表情。緊張しているのか、呼吸をゆっくり整え、集中して話すことに努めていた。
普段はどんな場でも余裕たっぷりな姿が印象的だったが、その面影は消えていた。プライベートの問題で物議を醸した俳優チョン・ウソンは、両手を丁寧に揃え、顔を赤らめてマイクの前に立っていた。
チョン・ウソンは11月29日午後、ソウル・汝矣島(ヨイド)のKBSホールで開催された「第45回青龍(チョンヨン)映画賞」に出席した。
今年、韓国映画の最多観客数となる1312万人を動員した『ソウルの春』は、最多観客賞、作品賞、主演男優賞、助演男優賞など9部門にノミネートされていた。チョン・ウソンも主演男優賞にノミネートされた。
青龍映画賞の出席を控えたチョン・ウソンは、デビュー以来、最大のスキャンダルに巻き込まれている。モデルでインフルエンサーのムン・ガビが産んだ息子の実父であることが明らかになったのだ。婚外子を持つことになったチョン・ウソンは、「結婚はしないが、子どもの責任は負う」との立場を公式文で表明した。
婚外子問題は注目の的となったが、その後の波紋もイメージ失墜に一役買っている。
ムン・ガビのほかにも10年間交際していた恋人がいたことに加え、一回り以上年下の女性と撮影したプリクラ写真が流出。また、知らない女性にインスタグラムでダイレクトメッセージを送り、ナンパしていたことも明らかになった。
所属事務所は、ムン・ガビとの婚外子を認めたこと以外、「プライベートは確認不可能」という曖昧なコメントに終始している。事実ではない場合に積極的に否定する従来の対応と比較して、事実である可能性が高いという推測が強まった。
このような波紋の大きさから、青龍映画賞への出席を辞退するのではないかとの見方が多かった。現場で姿を見せるのはあまりにも辛いだろうという予想だった。
しかし、チョン・ウソンはこの日、自身の問題に正面から向き合った。
『ソウルの春』が最多観客賞を受賞すると、チョン・ウソンはステージに上がった。同じく主演のファン・ジョンミンが満面の笑みで感想を述べたのとは対照的に、固い表情で舞台に立った彼は「チョン・ウソンです」と口を開いた。客席からは歓声が上がった。
チョン・ウソンは「まず、『ソウルの春』をご覧いただいた、すべての観客の皆様に心より感謝申し上げます。私は今日、『ソウルの春』に関わったすべての関係者に、私の個人的な問題が映画の汚点として残らないことを願う気持ちで、この場に立っています」と苦しそうに語り始めた。
続けて「私に愛情と期待を寄せてくださった、すべての方々に、ご心配と失望をおかけしたことを心からお詫び申し上げます。すべての叱責は私が受け止めていきます。また、父親として息子に対する責任を最後まで果たす所存です」と強調した。
父親になったことを明かし、責任を認めた発言だった。プライベート問題については、自分への叱責を求める謝罪の言葉だった。また、『ソウルの春』に対しては礼を尽くす態度を示した。授賞式にも最後まで参加し、作品賞受賞の際には再び舞台に立つなど、授賞式で特別扱いを求めることはなかった。
時折カメラに映る彼は、一度も笑顔を見せることはなかった。昨年、興行成績と批評家から好評を同時に得た『ソウルの春』の他のメンバーたちのように、授賞式を楽しむこともできなかった。ただ拍手を送るだけだった。
そこには韓国最高の俳優としての栄光と傷が同時に映し出されていた。
◇チョン・ウソン プロフィール
1973年4月22日生まれ。韓国・ソウル出身。身長187cm。1994年の映画『KUMIHO/千年愛』で俳優デビューし、映画では『私の頭の中の消しゴム』『グッド・バッド・ウィアード』『監視者たち』『アシュラ』『無垢なる証人』『藁にもすがる獣たち』『スティール・レイン』『ハント』『ソウルの春』、ドラマでは『アスファルトの男』『ATHENA -アテナ-』『パダムパダム ~彼と彼女の心拍音~』『愛していると言ってくれ』などで主演を務めた。2011年にはフジテレビ系列ドラマ『グッドライフ ~ありがとう、パパ。さよなら~』に出演したほか、2016年には映画『私を忘れないで』で主演と制作を務め、2023年に映画『ザ・ガーディアン/守護者』で監督デビューを果たした。
■【写真】チョン・ウソンの子を「極秘出産」した16歳下美人モデルとは?
前へ
次へ