「子供たちに何の罪が…。大人たちの問題だ」
【比較画像】NewJeansとILLIT、どれだけ似ているのか
これは、韓国最大手芸能事務所HYBEの新人ガールズグループILLIT(アイリット)を「NewJeansの盗作」と称した“NewJeansの母親”ADORミン・ヒジン代表が、4月25日の緊急記者会見で口にした言葉だ。
記者会見から約1カ月が過ぎた現在、両グループは依然として「大人たちの戦い」によって、難しい立場にいる。いずれのメンバーも苦しい様子も見せないようにしているが、顔色ばかりをうかがっている状況だ。
「経営権奪取」の疑惑をめぐり、親会社HYBEと傘下レーベルADORの葛藤が法廷争い、そして暴露戦に突き進んでいる。
双方は5月17日、ソウル中央地裁・民事合議50部(キム・サンフン首席部長判事)の審理で開かれた議決権行使禁止仮処分申請の審問期日で、激しい攻防を繰り広げた。この仮処分申請は、臨時株主総会でHYBEがミン・ヒジン代表解任案の議決権を行使できないようにしてほしいという内容を含んでいる。
問題の発端は、ミン・ヒジン代表が経営権を奪取する計画を立て、実際に会社に損害を及ぼしたという背任疑惑だったが、この日の法廷でHYBEを代理するキム&チャン法律事務所は、ミン・ヒジン代表が知人に「NewJeansメンバーの世話に虫唾が走る」という内容のメッセージを送ったことを公開し、波紋が広がった。
現場では、ミン・ヒジン代表がNewJeansのメンバーたちを誹謗する対話が“ぼかし処理”された。しかし同日午後、とある芸能専門ユーチューバーを通じて、ミン・ヒジン代表がNewJeansの特定メンバーに対して発言した身体的な悪口の内容などが赤裸々に公開された。
メンバーのイメージが失墜しかねない事案であるだけに、HYBE側は、メッセージをきちんと管理しなかったという非難を避けられなくなった。
ミン・ヒジン代表もやはり、HYBEの別の傘下レーベルBELIFT LABに所属するILLITが、NewJeansを“コピー”したとし、「ミン・ヒジン風」「NewJeansの亜流」と表現するなどして議論になった。デビューして2カ月も経っていないILLITは、あっという間に先輩グループを盗作した「罪人」になった。
「大人の戦い」に若いアイドルたちが巻き込まれている格好だ。両グループ共に未成年のメンバーが多く、職業的な特性もあって、公の場で否定的な感情を表に出すのは難しい。そのため彼女たちのメンタルケアに対する、ファンの懸念混じりの声が継続的に出ている。
実際にILLITのメンバーであるウォンヒは、ファンプラットフォーム「Weverse」で行ったデビュー50日記念ライブ配信の途中途中で、スマホ画面を触る姿がとらえられた。
これについてファンらは、「ウォンヒが悪質なコメントを自ら申告して遮断した」と推測。ILLITメンバーは全員が2000年代生まれで、ウォンヒは2007年生まれの16歳に過ぎない。
これを見たファンらは「16歳が自ら悪質コメントを見て申告している。話にならない」「所属事務所は未成年メンバーを保護するための措置を取っているのか」「このような状況でライブ配信をさせるべきなのか」と怒りをあらわにした。
NewJeansの状況もあまり変わらない。
特にNewJeansの法定代理人である両親たちがミン・ヒジン代表と今後も一緒に歩みたいという趣旨の嘆願書を提出した事実が知らされ、ミン・ヒジン代表が自分と会社の紛争にアーティストとその家族を利用しようとしているとの批判が殺到した。
そもそもNewJeansが5月24日にカムバックを控えているだけに、ファンは「大人たちの戦いで子供たちを誰が保護するのか」「子供たちに何の罪があるのか」として心配している状況だ。
むしろメンバーたちがファンを慰めている。NewJeansのミンジは5月18日、ファンプラットフォーム「Phoning」に「Bunnies(NewJeansファン)が考えて心配してくれるより、NewJeansはしっかりしている」とコメントを残した。「私たちは負けん気と銃を持ったウサギと言わなかったっけ?ぴょんぴょん。銃は冗談だって知ってるよね?愛の銃弾」と機知に富んだ言葉でファンをなだめた。
ミン・ヒジン代表をはじめとしたADOR経営陣の“交替”に関する臨時株主総会は、来る5月31日に開かれる。今回の事態に核心的な影響を及ぼす裁判所の仮処分決定は、これより前の時点に出るものと予想される。
双方は極めて私的なカカオトークの対話と内部メールを、先を争って公開し、1カ月近くも暴露戦に近い攻防を繰り広げている。双方ともNewJeansとILLITのメンバーを保護することが優先だと口をそろえているが、もはやその言葉は鵜呑みにできない。
とある業界関係者は「フォトタイムなどの公の場で、必死に微笑むメンバーたちの姿が残念だ。デビューしたばかりのグループであるだけに、現在の法的紛争以降も、彼女たちの今後の活動のために感情的な争いを最大限自制する必要がある」と話した。
なおHYBEは5月15日、韓国のエンターテインメント企業としては初めて公正取引委員会から「大企業集団」指定を受けた。これは、それだけHYBEの社会的な責任が重大という意味でもある。
「大企業」となったHYBEの創設者であるパン・シヒョク議長と、そのなかでK-POP最高のグループを作り出したミン・ヒジン代表、そしてその他の経営陣がK-POPの真の主人公であるアーティストたちを心から保護する方法が何なのか、真剣に考えなければならない時点だ。
■【写真】NewJeans・ミンジ、笑顔が消えた…葛藤のなかでイベント参加
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