Netflixオリジナル『サムバディ』は出会い系アプリを素材にした連続殺人鬼と被害者の奇怪なラブストーリーを描いた作品だ。カン・ヘリムが演じたキム・ソムはアスペルガー症候群の開発者で、人より人を理解するアプリ「サムバディ」を実際に作った人物だ。
ソムはアプリを媒介に殺人事件が相次ぐと、連続殺人魔のソン・ユノ(演者キム・ヨングァン)に直接会い、愛の感情を感じるようになる。
現実ならなかなか理解しにくい設定だが、カン・ヘリムは「ソムのセリフに共感し理解できる」と話した。だからこそ、この難しい役割を快く「できる」と乗り出した。
「ソムは平凡ではない考え方をする珍しい人だと思った。なぜそのような行動をするのか、考えさせられる魅力がある人物だ。何よりソムとユノの関係に共感した。他人がソムを見る時は“少し違う人”になるだろうから。ユノは罪を犯したが、2人でいるときは何か強い縁の糸につながっていたのではないかと思う」
チョン・ジウ監督との面接は至難だったカン・ヘリム。監督との初めて出会ったとき、これまで生きてきた話や家族の話、どんな考えを持っているのか打ち明けたという。
「初めてお会いした時、監督は私たちが探している配役と似た方だとおっしゃった」として「私の口調やよく使う単語、私が作る表情と行為にソムが見えたようだ。また、台本でソムに共感する姿を見て役に選ばれたようだ」と説明している。
劇中、ユノとのベッドシーンは“29禁”として話題を集めたりもした。
新人として全裸で演技をするのは容易ではない課題だったはず。だが、カン・ヘリムは「それほど心配しなかった」とにっこり笑った。
「最初は体作りをしなければならないと思ったが、実際に撮影が始まると運動をする環境が整っていなかった。現場が寒すぎて、食べずには耐えられなかった。むしろ相手役のキム・ヨングァンはダイエットのために全く食べなかったが、私はもらうたびに全部食べた(笑)それでもベッドシーンは満足している。寒すぎたので、体力的に苦労したこと以外は全部よかった」
『サムバディ』公開後、最も多く聞いた評価は「君が怖い」という反応だ。
彼女は劇序盤から車に轢かれた野良猫を刃物で殺すなど感情のない姿で一貫する。カン・ヘリムは「猫の人形で撮影した後、CG処理をした」とし「私も猫好きだ」と強調した。
ピアノを専攻した母親の意思により慶星(キョンソン)大学の音楽学部に進学したが、音楽に特に意味を感じなかった彼女は、2016年のミスコリア釜山・蔚山地域で「眞」(1位)になった後、役者のオファーを受けて自身の俳優としての可能性を発見した。
学校を退学してソウル行きの汽車に乗ったが、最初は釜山を離れてソウルで過ごすのがただただ良かったが、すぐに、選ばれなければならない職業の難しさに気づいた。
オーディションの機会さえなく、数カ月に一度のオーディションを受けていた彼女はウェブバラエティ『恋愛のおせっかい』内の再現ドラマの女優として活躍。この期間はアルバイトと母のカードで生活していたと言い、黙々と自分を支えてくれた両親に感謝の気持ちを伝えた。
『サムバディ』公開後、フランス、スイス、台湾、日本など全世界各地から集まるファンのコメントを読む楽しさにすっかりはまったカン・ヘリムは、次期作もホラーに出演したいという願いを伝えた。
確かに新人俳優としてはあまり聞かない望みだ。
「周りでは『サムバディ』のイメージを消すために恋愛ものに出演しなければならないと言われているが、私は映画『女神の継承』のようなホラー映画やスリラー映画に出演したい。まずは新しい姿をお見せできるように仕事をたくさんしたい」と抱負を語った。