去る10月29日、ソウル龍山(ヨンサン)区・梨泰院でハロウィンを控え、数万人の人出が殺到したなか、大規模な雑踏事故が発生した。韓国中央災難安全対策本部によると、その事故の被害は、今日(11月1日)午前6時までに集計された死者数だけで155人に上った。また負傷者152人のうち重傷者が30人もいるため、追加の被害の恐れも残っている。
都心の真ん中で発生した前例のない大規模な惨事に、多くの市民が衝撃を受けた状況だ。韓国政府は11月5日24時までを国家哀悼期間に指定。それに歩調を合わせ、芸能界も同期間に予定されていたオン・オフラインイベントを取り消し、放送中だった番組まで休止している。
前代未聞の悲報に、その原因を究明すべきとの声が早くから大きい。主催者がいないため、警察の人材配置の疎かさなど行政的空白を問題視する見方があったかと思えば、事故現場近くのホテルが不法建築物だったとの噂や、特定の加害者がいるとの疑惑まで、様々な原因が正確性を検証されないまま公憤を誘っている。
そのなかでも問題は、「有名人が居酒屋に入ってそれを見るために人々が殺到した」という一部メディアの憶測性の記事だ。現在、“梨泰院に行った有名人”という魔女狩りが起きている。
それと関連して一部からは、事故当日に現場を訪れた配信者(BJ)たちへ注目が集まった。
名前が挙がったBJケイ(K)は個人チャンネルの掲示板を通じて疑惑を否認。彼は「私のせいで多くの人が集まって事故が起きたという憶測の文が上がってくるが、放送を見た方々は皆ご存知だと思うが、あまりにも話にならないし、事実ではないことをご存知だと思う。私は居酒屋を訪問したのではなく、人波によってやむを得ず居酒屋に押し寄せることになった」と明らかにした。
また別の配信者であるBJフューリーは、事故当日にライブ放送を行い、悲鳴と共に配信が終了したことで失踪説まで浮上した。幸い、彼女は10月30日にSNSを通じて無事を知らせた。ただやはり彼女も“梨泰院に行った有名人”という視線を受け、「憶測は自制してくださるようお願いする」と頼んだ。
撮影のために事故当日、梨泰院を訪れたコメディアンのキム・ヨンチョルも釈明した。彼は10月31日午前、生放送で進行されたラジオ番組『キム・ヨンチョルのパワーFM』のオープニングコメントで、「29日に撮影があり20時頃、梨泰院で短く撮影を進行して撤収した。数時間前にその場にいたので、今回の事件がさらに信じられない」と明らかにした。それと同時に彼は犠牲者に対する深い哀悼の意を表しながら、涙を流した。
結局のところ、どちらにしても罪のない人々に文句を言いたいだけという印象を禁じえない。突然の悲報による虚しさが、行き場のない怒りを誘発している状況だ。依然として犠牲者に対する哀悼の期間は残っており、負傷者に対する治療と事故現場の収拾もまだだ。
前代未聞の事態を前に最も必要なのは、無理に対象を探して爆発させる怒りよりも、犠牲者に向けた心からの哀悼ではないだろうか。
(記事提供=OSEN)
■「人々は歌い、笑っていた」韓国ソウル雑踏事故の外国人犠牲者の友人が怒り訴え