「IUが赤ん坊のお母さんを演じるの?」
昨今はアイドル出身の若いスターが演じる母親役が目立つ。第75回カンヌ国際映画祭で12分間のスタンディングオベーションが巻き起こった『ベイビー・ブローカー』のIUだけでなく、最近放送が終了したKBS2『愛のクァベギ』(原題)のハム・ウンジョンも子を持つ母親を演じ、母性あふれる演技を繰り広げた。
明るく清純なイメージだけを固守していた過去とは違い、アイドルも積極的に新しい役に挑戦する傾向が強い。
ガールズグループT-ARA出身のハム・ウンジョンは、『愛のクァベギ』で、KBS1『だまされても夢心地』(2021)に続いて再び母親役を演じた。ハム・ウンジョンは最近、本紙『スポーツソウル』と行ったインタビューで、「最初に『だまされても夢心地』で母親役をすると言った時、周囲からは心配する視線もあった」とし、「だから簡単にすぐ決めたというより、難しく慎重に決めた」と回想している。
続いて、「少し早いが、もしかしたら、いつかはやらなければならない役割でもないか、私より若い時に“ママ”役を演じた先輩たちもいたので、あまりにも枠に閉じ込められるのではないかと思った」とし、「(母親)役で、ヒット曲を保有した誰もが知っている“アイドル”の姿から抜け出すことができるのではないかと思った」と明らかにした。
また「“お母さん”というのは本当にすごいと感じていたし、私が直接感じられなかった感情に関しては慎重だった。子役たちの母親たちに、たまに聞いたりもした。それでも作品ではなかったら、調べなかったかもしれない部分について、深く見て考えるようになり、他人を演じるという点が本当に楽しくてありがたい」と伝えた。
そして『ベイビー・ブローカー』でのIU(俳優活動名はイ・ジウン)の母親役も話題になった。IUはカンヌで行われた韓国メディアとのインタビューで、「次の作品を決めなければならない時期だったが、漠然と“母親の役割をしたい”“子供を産んだことのある役割をしたい”と思った。出産という本当に大きな壁を越えた人、私の体の中で生まれた生命を守る人をやってみたい、それ程の気持ちだった」と明かしていた。
続けて、「出産の苦痛を感じたことがないので、理解してみようとはしたが、完璧には分からない。台本上の設定に最大限従おうとし、赤ちゃんのウソン役のジヨンを休憩時間のたびに見て、目を合わせて、話もした。“私の息子だ”“私が産んだ子供だ”“私と似ている”こう考え続けた」と付け加えている。
またK-POP第1世代アイドルSESのユジンは、アイドル出身者として母親役を演じた元祖でもある。
ユジンがKBS2ドラマ『パパ3人、ママ1人』(2008)でシングルマザー役を演じた当時、年齢は27歳だった。製作発表会では、「妊娠のシーンなどは今回初めて撮影したが、変わった経験だった」とし、「演じながら母親のこともたくさん考えたし、生命の神秘も感じた」と述べていた。
SES出身のアイドルスターというイメージがあったため、母親役はプレッシャーではなかったかという質問に対しては、「今回は母親役をするが、いつでも学生役ができると思うので、配役に対する負担はない」とし、「きれいに見せようとするよりは、率直で負担なく真実の気持ちで演技することが重要だと思う」と答えた経緯がある。
妊娠・出産経験のない若い20~30代前半の女優が、このような演技をするのに大変な点はなかっただろうか。
6月8日に韓国で公開開始となる映画『2037』(原題)で主演を務めるホン・イェジは、アイドルデビュープロジェクトMnet『PRODUCE48』に出演した元アイドル練習生だ。21歳にもかかわらず、『2037』では妊娠・出産の演技を安定的に披露し、好評を得ている。
そんなホン・イェジは最近、『スポーツソウル』とのインタビューで、「20歳で妊娠の演技ができたということが、ある意味独特でもあると思う。そして本当に想像もできなかった役割だった」と話し、「出産シーンなど心配はたくさんあったが、出産経験のある先輩たちのアドバイスを参考にして演じた。事実、そのような話がなかったら、妊婦の役割が多少難しかったと思う」と答えてくれた。
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