2021年カンヌ国際映画祭に出品され、8分間におよぶスタンディングオベーションで喝采を浴びた愛と感動の物語『ブルー・バイユー』から、映画のテーマとなっている“国際養子縁組”の問題についてのコラム、30秒予告編が解禁となった。
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監督・脚本・主演を務めるのは、映画『トワイライト』シリーズで俳優として知られ、監督としても数々の賞を受賞している韓国系アメリカ人、ジャスティン・チョン。共演には、2015年『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデルがキャスティングされている。
映画のテーマとして描かれている“国際養子縁組の光と影”その問題とは…?
ジャスティン・チョン監督が、国際的な養子縁組で起こってきた問題を、韓国人コミュニティを通して知ったことがきっかけとなり作られた本作。映画のテーマとなっている”国際養子縁組”とはそもそもどういったものなのか?
本作の主人公アントニオは、韓国に生まれ、1988年に3歳で養子としてアメリカに渡ってきた。このような国境を越えて行われる養子縁組を国際養子縁組と呼ぶ。統計によると、韓国が1953年から2010年までで総計16万人余りの国際養子を送り出してきたこと、特に1970年頃からその数が急増して2005年頃まではコンスタントに年間2000人を超え、1985年頃には年間8000人を超える勢いであったこと、2005年以降は世界的にその数がぐっと減少してきていることがわかる。
国際養子縁組が行われてきた背景には、先進諸国では養子をとりたいと願う養親希望者の数に比べて養子になる子供が少なすぎ、発展途上国では養親を必要とする子供が多いのにもかかわらず、自国内では十分な数の養親希望者を見つけることができないという事情があった。国際養子として新しい国にやって来た子供のなかには、先進国の豊かな社会の中で養親の愛情に恵まれて幸福に育った子も多かっただろうが、アントニオのように悲惨な人生を送ることになった子も少なからずいたと考えられる。
もともと国際養子縁組は、ひとつ間違えば、子供の人身売買になりかねない危険な制度であった。1980年代には国際社会において、このような国際養子縁組の危険性が強く自覚され、これに対処する取り組みがなされ、その結果、1993年にハーグ国際私法会議という組織によって「国際養子縁組に関する条約」が作成された。
この条約は、国際養子として他国に養子として送られる子供たちが、危険に巻き込まれることなく、安心して安全に暮らすことができるように、様々なルールを定めている。この条約の加盟国は、厳格な手続きを経て国際養子縁組を実施しなければならないことになっている。
もし仮に、アントニオが韓国からアメリカに国際養子として渡ったときにこの条約が存在していて、韓国とアメリカの両国ともにその加盟国であったならば、アントニオの悲劇はおそらく回避されていたのではないか…。<早川眞一郎(専修大学法科大学院 教授)寄稿より抜粋>
併せて解禁された30秒予告編では、アメリカの司法制度に翻弄される家族の様子が映し出され、その姿に思わず心が揺さぶられる映像となっている。
映画『ブルー・バイユー』は、2月11日よりTOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー。
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