2021年の韓国では、新型コロナの猛威拡大、有名人の学生時代のいじめ暴露、大統領選のスキャンダル噴出など暗い話題が多かったが、韓国エンタメ界では明るいニュースも少なくなかった。
なかでも『イカゲーム』や『地獄が呼んでいる』など、Netflixオリジナルシリーズの世界的ヒットが際立っていた。
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しかし、動画配信サービスが好調の反面、映画業界は危機に瀕した。コロナによる劇場の入場制限に伴い、公開・制作が延期されたのだ。ただ、2019年にアカデミー賞を獲得した『パラサイト 半地下の家族』を筆頭に、韓国映画のクオリティの高さは今更言うまでもないだろう。
日本でも数々の韓国映画が公開されたが、劇場から足が遠のいた人も多いはずだ。なので、今回は2021年に日本公開されたオススメ韓国映画を紹介したい。
『SEOBOK/ソボク』(7月公開)
まず、日本でも人気の俳優コン・ユ、パク・ボゴムの共演ということで公開前から注目を集めた『SEOBOK/ソボク』。
本作は、余命宣告を受けた元情報局のエージェントであるギホン(演者コン・ユ)が、極秘国家プロジェクトで誕生した人類初のクローンのソボク(演者パク・ボゴム)を護衛するという物語。
SFではありつつも、コン・ユとパク・ボゴムが徐々に通い合う人間模様も丁寧に描かれているため、ヒューマンドラマ的な要素も強く、切ない余韻を感じられる作品となっている。
韓国では最近、『SEOBOK』のようなSF作品が注目を集めている。ソン・ジュンギ主演の“韓国初”SF映画『スペース・スウィーパーズ』や、ペ・ドゥナ、コン・ユが主演を務めるドラマ『静かなる海』(両作品ともNetflixで配信中)といった大作が高く評価されており、今後もこの流れは続く見通しだ。
これまで、社会派サスペンス、甘々ラブコメディ、容赦ゼロのヤクザ映画、ドロドロ政治作品といった印象が強い韓国映画だが、2021年は“韓国SF史元年”となるかもしれない。
『ミッション:ポッシブル』(5月公開)
また、韓国映画の中でも欠かせないジャンルがコメディ作品ではないだろうか。今年5月に日本公開された『ミッション:ポッシブル』は、韓国映画特有のテンポの良さとコミカルさで頭を空っぽにして気楽に楽しむことが出来る。
金さえ貰えれば何でもやる探偵事務所社長ウ・スハン(演者キム・ヨングァン)と、研修中の秘密要員ユ・ダヒ(演者イ・ソンビン)が、任務遂行の過程で様々なトラブルに巻き込まれるという物語には、コメディ、バディ、潜入といった様々な要素が含まれているが、一番の注目ポイントはアクションだ。
『ミッション:インポッシブル』さながら、とまでは言えないが、187cmの恵体を誇るキム・ヨングァンと、モデル顔負けのスタイルで人気のイ・ソンビンが繰り広げるアクションシーンは一見の価値あり。
あの名作のパクり?と思われるほどB級感漂うタイトルだが、クオリティはA級のアクション・コメディとなっている。
『KCIA 南山の部長たち』(1月公開)
そして2021年公開作品と言えば、『KCIA 南山の部長たち』は外せない。
韓国が誇る名優イ・ビョンホンが主演を務める本作は、実際に起きた側近による大統領暗殺事件をもとに、事件前の40日をフィクションとして映画化したもの。特有の生々しさや臨場感が十二分に引き出されており、「これぞ韓国映画!」という作品だろう。
KCIA(中央情報部)の部長キム・ギュピョン演じるイ・ビョンホンは、中間管理職のようなポジションでジリジリと追い詰められていく姿をストレスフルに演じ、パク・チョンヒ(朴正煕)元大統領演じるイ・ソンミンは身勝手な独裁者を極限まで憎たらしく演じている。
「政治的な話で難しそう…」と敬遠してしまう人も多いかもしれないが、正直やることなすことほとんどマフィアと言っても差し支えない。名優たちが繰り広げるこってり重厚サスペンスで、正月ボケを吹っ飛ばすのもおすすめだ。
なお、これら3作品はAmazon Primeなどの動画配信サービスですでに配信中のため、こたつに入ったまま手軽に楽しむことができる。正月特番に飽きた人は、是非一度観賞してはいかがだろうか。
(文=高 潤哲)
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