女優イ・シヨン(38)がボクサー、ユーチューバー、そして母親として、日々を一生懸命チャレンジしながら生きている。
2012年にボクシングの韓国代表候補に選抜され、注目を集めたイ・シヨンは、その後、ドラマやバラエティで強靭なイメージとアクション演技で愛されてきた。2019年の映画『聖女/Mad Sister』を通じてアクションジャンルで頭角を現し、今年に入ってサバイバルバラエティ番組『私は生きている』(原題)に出演したりもした。
そのためイ・シヨンには“アクション特化女優”というフレーズがついて回る。
多彩な演技を見せたい俳優には負担になるかもしれないが、イ・シヨンは「以前はそんな悩みをしたりもした。でも今は、そんなイメージがあること自体を感謝している」とし、「アクション演技が好きなだけでなく、運動も好き。自分が好きなことを発展させることができるのは、ラッキーだ。さらに良いアクションをお見せしたい」と語った。
そんな女優イ・シヨンの強みは、Netflix(ネットフリックス)オリジナル『Sweet Home-俺と世界の絶望-』で十二分に発揮された。
同名の人気ウェブ漫画を原作とする『Sweet Home』は、引きこもりの高校生ヒョンスが家族を失い、引っ越したアパートで怪物たちと戦う衝撃的な話を描いた作品で、劇中イ・シヨンはモンスターと死闘を繰り広げる。身軽な格好で汗ばんだ素肌も見せるアクションは、圧倒的な印象を残した。
イ・シヨンは、たくましい女性消防官ソ・イギョンを演じるために6カ月、激しいトレーニングを積み、体脂肪率8%の美ボディを完成させた。
素肌を大きく露出しながらのアクションは初めてだったため緊張したというイ・シヨンは、「時間をかけて準備した。バルクアップをする必要があり、たくさん食べようとしたが、簡単ではなかった。これまでより運動量を増加させたりもした。モンスターと闘うには、ある程度の体を作らなければという考えで、一生懸命だった」と振り返った。
多くの人がイ・シヨンのアクションと筋肉に注目するが、『Sweet Home』で女性消防官ソ・イギョンを演じたイ・シヨンが注目したのは、“母性愛”だった。
演じたソ・イギョンは妊娠した状態で、婚約者を失った人物だ。ディストピアの中でもお腹の中の子供を守るために奮闘する彼女は、時にモンスターになったヒョンス(演者ソン・ガン)や元殺し屋サンウク(演者イ・ジヌク)よりも強靭に描かれている。
イ・シヨンは「誰かのために自分を犠牲にする職業に身捧げてきた人が、子供を守るという思いで利己的になる部分もある。母親として、とても共感できた」と話した。
イ・シヨンも2018年に出産して母親となり、演技スペクトラムがさらに広がった。インタビュー中、イ・シヨンは“母性愛”という言葉をたくさん使った。
彼女は「劇中のイギョンも、子供を守ろうという愛によって怪物にならなかったのだと思う。母性愛は欲望ではなく、本能であり、愛ではないか」とし、「守るべき人がいるというのは負担でもあるが、それによって強くもなる。『Sweet Home』のような極限の状況はあまり想像できないが、母親という力は想像以上に自分を強くする。だからイギョンも本能的な状況判断で危機を乗り切ったようだ」と述べた。
イ・シヨンは、シーズン2に対する期待についても話した。
「シーズン1が終わって気になったのは、妊娠した状態のままシーズン1を終えて子供を出産できるかどうか。自分も気になっている(笑)。また、その子がはたして人間の姿なのか、怪物化した子なのかと、また新たな物語が展開されるのではないかと、ひとりで想像したりした」
◇イ・シヨン プロフィール
1982年4月17日生まれ。モデルを経て芸能界デビュー。日本でも人気を博したドラマ韓国版『花より男子』や『風の国』に出演して注目される。以降、『富豪の誕生』『ゴールデンクロス』『一理ある愛』といったドラマでヒロインを務める傍ら、役作りのため始めたボクシングに目覚め、2012年には各種アマチュア大会で優勝。2013年には韓国代表の座をかけた全国アマチュアボクシング選手権で準優勝するなど、“ボクサー女優”としても有名だ。
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