「この時代に必要な映画」と出演者が口をそろえる『私が死んだ日』(原題、パク・ジワン監督)が完成した。
11月4日、ソウルで新作映画『私が死んだ日』のマスコミ試写会が行われた。本作は遺書1枚を残したまま崖から消えた少女、生活の崖っぷちで事件を追跡する刑事、そして彼女らに手を差し出した無言の目撃者が、生きるために決断した選択を描いた映画だ。
本作では、日本でもリメイクされたドラマ『シグナル』に出演した女優キム・ヘスが刑事役を、若手女優ノ・ジョンウィが事件の中心となる少女に扮した。そこに『パラサイト 半地下の家族』で家政婦役を演じた女優イ・ジョンウンが加わり、話すことはできず目で表現するという難しい役を演じる。まさに実力派女優がそろった作品といえるだろう。
パク・ジワン監督は、傷を負った人々がそれぞれの方法で克服していくプロセスを繊細に描いた。女性の出演者や制作陣が集まった映画という評価についてパク監督は、「意図したわけではない。自然にそうなった」と述べた。キム・ヘスは「女性の映画ではなく、“私たちの映画”として自然に受け入れてほしい」と語った。
続いてキム・ヘスは本作との出会いを「運命だった」とし、「まずタイトルに惹かれた。このようなことは今までなかったので私自身も不思議に思う。実際にシナリオを読み、私が必ず演じなければならない話だと感じた。私にも“ヒーリング”が必要だった」と述べた。
また「準備段階で様々な意見を交わした。役に必要なのは真実だと思った。作為的なものをできるだけ排除しようと気を遣った」と話した。
ノ・ジョンウィにとっても『私が死んだ日』はヒーリングだった。彼女は大先輩であるキム・ヘス、イ・ジョンウンとの演技について「最初は校長先生が2人いるようなプレッシャーだった」としながらも、「本当にたくさん学んだ。すべての瞬間が学びで成長できた。私も傷を負っていた時期だったが、この映画のおかげで今は明るく生きることができている。イ・ジョンウン先輩と演じた感情をさらけ出すシーンでは、自分が今本当に演技をしているのか疑わしいほど私自身の本音だった。こんな簡単に演技していいのかと思うほど、私心だった」と制作秘話を明らかにした。
作品ごとに印象深い演技を披露しているイ・ジョンウンは、話すことができない人物の役を演じた。イ・ジョンウンは「声がないので観客の方が集中して見ることができるか心配だったし、よく聞いてよく反応しようと努めた。代わりに(私が書いた)文字が出てくるのだが、言葉がない場面をどのように表現するか多くの研究をした」と回想した。
作品に関わったすべての人の真心と真剣さが盛り込まれた本作は、刑事ものではあるが追跡劇というよりもヒューマンドラマに近いものとして描かれている。
最後にキム・ヘスは 「撮影中、共演した俳優たちを通じて多くの癒しを得た。(撮影現場は)温かい空気に満ちあふれていた。(現代は)本人が意図せずとも傷ついてしまう時代だ。大変な時期に劇場へ足を運ぶことも簡単ではないが、それでも本作をご覧になられる方には温かい“ヒーリング”となればいい」と締めくくった。
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