スターたちのYouTubeチャンネルを通じたPPL(間接広告)が論議に包まれた。
K-POP女性デュオDavichi(ダビチ)のカン・ミンギョン、スタイリストのハン・ヘヨン、タレントのキム・ナヨンらがYouTubeチャンネルを通じて紹介したいくつかの商品が、広告費をもらう形式で行われていたことがわかった。
いずれも解明と謝罪をしたが、大衆の反応は今も冷たい。
彼らに向けられた議論を見ていると、2018年の“音源買い占め”疑惑で話題になったバイラル・マーケティング(viral marketing=口コミを利用し、低コストで顧客の獲得を図るマーケティング手法)が思い出される。
もちろん2つの事案は、内容や具体的な状況がまったく異なるが、消費者を騙すという点では似た性質を持っている。
当時、音源買い占め疑惑を受けていた音楽企画会社やメーカーは、差別化されたソーシャルメディア・マーケティングのノウハウを成功の秘訣として挙げた。彼らだけでなく、フェイスブックなどのソーシャルメディアを使って消費者に早く拡散させるバイラル・マーケティングは、すでに多くの音楽企画会社で活用されている。
ただし、多くのユーザーを抱えるチャンネルやページにコンテンツをアップロードしたり、露出させたりする一部のバイラル・マーケティングで、金銭的な取引が存在していたということを多くの消費者は知らなかった。
すべてのコンテンツが広告、または金銭的な取引を通じてアップロードされるわけではないが、むしろ混在しているため、消費者の立場では広告とそうでないコンテンツを区別することが難しい。つまり消費者は、意図的に歪曲されたコンテンツでも批判することなく受け入れてしまう可能性が高い。
そして音源買い占め論議が起きたことで、バイラル・マーケティングの効果が徐々に落ちてきている。特に今年は、フェイスブックやSNSを通じて推薦される新曲に対する信頼度が急激に低下した。自然と金銭的な取引のない、本来の意味での口コミで広がるコンテンツへの関心も下がった。
結局のところ、被害は大規模な広報やマーケティングができない中小企画会社のミュージシャンに戻り、リスナーの立場としても結果的に良い曲を知る機会が減った。
現在、議論となっているスターたちのPPL問題も、似た部分がある。
ここで問題視されたのは、有名人が自分の影響力をもとに有料広告や協賛を受けた点ではなく、自分たちが自腹で購入し、使用した商品を紹介すると強調しておきながら、協賛や広告費をもらった商品も同じように紹介していた点だ。
さらに、一部では自分たちのチャンネル登録者はもちろん、大衆を相手に一定部分の情報を非表示にしたり、歪曲したりした。もちろん、まだ法的に問題があるわけではないが、彼らを信じていた視聴者にとっては裏切り行為であり、失望感を与えるしかなかった。
ドラマやバラエティとは異なり、個人放送のPPLの場合、意図したとしてもそうでなくとも視聴者を騙しうるという点が今回の騒動をきっかけに明るみになった。
とはいえ芸能人、インフルエンサーなどを使った広報やマーケティングは、ごく自然な方法だろう。そして現在では自らが1つのブランドとなり、単純なコンテンツだけでなく、さまざまなプラットフォームと組み合わせた“セレブコマース”に拡張する準備がなされている。そして遠慮なくPPLを行うスターとコンテンツに対しても、消費者は支持を送っている。
制度的な裏付けも行われている。
公正取引委員会は2019年11月、YouTube、インスタグラムなどのSNSで経済的な利害関係を正しく通知しない広告行為に制裁を下した。
そして消費者を騙す広告の増加と、多様なSNSの特性、変化した消費環境を反映して、経済的利害関係の公開の原則と媒体別公開方式・例示などを規定した「推薦・保証等に関する表示・広告審査指針」の改正案を確定し、2020年9月1日から施行する予定だ。
今回のYouTubeチャンネルを通じたPPL論議は、音源市場のようにそれ自体が信頼性を失って萎縮されるのか、それともよりオープンで健全な方向に向かう“成長痛”となるのか。もう少し見守る必要がありそうだ。
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