アーチェリーインド代表を率いた韓国人監督が、パリ五輪直前に呆れた帰国通知を受け取った。
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インドメディア『タイムズ・オブ・インディア』は7月24日(日本時間)、「アーチェリーインド代表のパリ五輪への準備は新たな障害物に直面した。韓国人のペク・ウンギ監督の代わりに、心理治療士がビザの承認を待っている。心理治療士はビザ処理のため、インドのデリーで足止めされている」とし、「メダルの可能性と選手の士気を深刻に低下させることができる問題だ」と報じた。
ペク・ウンギ監督はフランス・パリで五輪の競技場や選手村に出入りできる身分証「ADカード」の発給を待っている途中、インドオリンピック委員会(IOA)から帰国するよう通知を受けた状況だ。
まさに五輪開幕直前に起きた“寸劇”と言って良い。
現地報道によると、IOAはペク・ウンギ監督に“ADカード不足”のためインドに帰国するよう通知したという。
アーチェリーインド代表のコーチ陣は、ペク・ウンギ監督とコーチ4人含む計5人がパリに向かったが、ADカードは4枚しかなかったという。
そこで、インドアーチェリー協会(AAI)はさまざまな要素を考慮し、監督以外のコーチにパリ五輪での指揮を託した。
もっとも、事実上の“解任”と言ってもおかしくない。
ペク・ウンギ監督とAAIの契約期間は8月30日までだった。
しかし、実際にはパリ五輪本大会すら迎えることなく追い出され、あっけなく同行を終えることになった。
AAIは4枚のADカードを男子代表コーチ、女子代表コーチ、理学療法士、心理治療士に提供する計画だという。
当然、ペク・ウンギ監督は怒りをあらわにした。
ペク・ウンギ監督は『PTI』とのインタビューで、「決定的な時期に五輪の監督職から外された。飛行機の日程を見て、私に家に帰れと言った」とし、「侮辱的だ。私は8月30日まで契約しており、五輪を目指して契約した。ソーニーパトに到着し、落ち着いたら韓国への入国手続きを準備する計画だ」と伝えた。
そして、AAIとの再契約は絶対にないという立場を示した。
指揮官は「パリでメダルを獲得するために2年間選手たちを訓練させてきた。しかし、IOAのずさんで性急な行政によって外された。であれば、なぜ韓国人監督を選ぶためにお金を投じたのかがわからない。さらに重要なことは、五輪をわずか数日後に控え、主要段階に到達しているということだ。私は五輪の練習場や競技場の近くに泊まることができない」と悔しさを爆発させた。
また、「このままではインドの選手は韓国の選手に勝てないだろう」と強調した。
彼は「韓国の選手は強い。もしインドが韓国と決勝を戦うなら、90%の確率で敗れるだろう。しかし、私が監督の座にいれば、韓国の選手たちもより大きな緊張感と圧迫を感じたはずだし、インドの優勝の可能性も高くなっていただろう」と主張した。
その一方で、ペク・ウンギ監督は2年間一緒に過ごした選手たちにエールを送った。
指揮官は「インドアーチェリーは12年ぶりに男子3人と女子3人が同時に出場することになった。メダルが取れる良い機会だ。インドの選手たちがメダルを獲得できるように祈る」と、師匠として最後の言葉を残した。
ペク・ウンギ監督は韓国アーチェリー界で多くの成果を出した指導者だ。彼は2004年アテネ五輪でコーチを務め、2012年ロンドン五輪では韓国代表を率いて金メダル4枚と銀メダル1枚を獲得した。
インドでも指導力を証明した。ペク・ウンギ監督は2022年にアーチェリーインド代表に赴任し、昨年の杭州アジア大会でチームをけん引した。
インドのアーチェリーは金メダル5枚、銀メダル2枚、銅メダル2枚を獲得し、韓国を抜いて総合1位になった。特に、コンパウンド種目では金メダル5枚を総なめし、アジアアーチェリーの“新興強国”として浮上した。
ただ、ペク・ウンギ監督はパリ五輪の舞台にすら踏むことができず、苦々しく代表を離れることになった。『タイムズ・オブ・インディア』によると、AAI側は選手たちの選択による決定であり、問題ないという立場を示している。
同メディアは「消息筋によると、IOAは五輪期間に選手が望む4人の名前を整理した。ここにペク・ウンギ監督の名前はなく、彼はその後帰国しろと伝えられた。だから議論がない」として、「実際、ペク・ウンギ監督とAAIの間では、8月30日以降再契約しないという相互合意がすでになされていた」と伝えた。
しかし、AAIはいざペク・ウンギ監督の代わりにADカードを発給した心理治療士がビザ問題に直面し、頭を悩ませている。はたして、ペク・ウンギ監督を“切った”アーチェリーインド代表の決断は、どんなブーメランで帰ってくることになるだろうか。
(記事提供=OSEN)
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