人種差別被害を受けたサッカー韓国代表FWファン・ヒチャン(28、ウォルヴァーハンプトン)が、自身のSNSで同事件に言及した。
ファン・ヒチャンは7月17日(日本時間)、自身のインスタグラムを更新。英語で次のように綴った。
「人種差別はスポーツにおいても、人生のあらゆる場面においても耐えがたいものだ。事件の後、コーチングスタッフとチームメイトはすぐに“必要なら一緒にグラウンドを離れる”と言ってくれたし、自分のことをずっと気にしてくれた。チームメイトには改めて感謝している」
「それでも、自分はプレーをし続けたいと思ったし、ピッチでやるべきことをした。最後に、応援メッセージを送ってくれたすべての方々に感謝申し上げる。There is no room for Racism(人種差別は許されない)」
ファン・ヒチャンは16日、スペインで行われたイタリア・セリエAのコモとのプレシーズンマッチで人種差別発言を受けた。
当時、後半から途中出場したファン・ヒチャンは、コモの選手から人種差別的な発言を聞いた。これにチームメイトの元ポルトガル代表FWダニエル・ポデンセ(28)が激怒し、差別発言をした選手に向かって拳を振り上げて退場処分となるなど、現場は一時騒然となった。ポデンセだけでなく、ほかのウォルヴァーハンプトンの選手も同様に怒りを表した。
なお、試合はウォルヴァーハンプトンが1-0で勝利。チームを率いるゲリー・オニール監督は試合後、「チャニ(ファン・ヒチャン)が人種差別的な発言を聞いた。彼に(試合中)もうプレーをやめるかと聞いたが、最後までプレーすると言っていた。苦しいときもチームを最優先に考えた。彼は全面的な支援を受けなければならない」とコメントした。
また、クラブも試合直後、公式SNSを通じて、「いかなる形であれ人種差別は容認できない。今回の事件と関連して欧州サッカー連盟(UEFA)に公式抗議書を提出する」と声明を発表した。
一方、コモも16日に声明を発表したが、こちらは人種差別が“誤解”で、ウォルヴァーハンプトン側が“過剰反応”したと説明した。
同クラブは「我がクラブは人種差別を容認せず、すべての形の人種差別を非難する」としつつ、次のように伝えている。
「何を言われたのかを理解するため、問題の選手に話を聞いた。彼がチームメイトに言った言葉は、“無視しろ。彼は自分がジャッキー・チェンだと思っているんだ”というものだった」
「選手たちと深く対話した結果、この発言は選手の名前と、ピッチ上でチームメイトが常に“チャニ”と呼んでいたことに言及したものだと確信している。我がクラブが認識する限り、選手は侮辱的な発言をしていない」
コモは最後に、「特定のウォルヴァーハンプトンの選手たちの反応によって、この事件が大げさに扱われてしまったことに失望している」と表明していた。
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