「韓国女子ボクシング界のキム・ヨナ」がパリ五輪出場を決めた。
オ・ヨンジ(33)は6月1日(日本時間)、タイ・バンコクで行われたパリ五輪2次世界予選の女子60km級準決勝でフィンランドのビルマ・ビータネン(22)と対戦し、5-0の判定勝ちを収めた。
これにより、オ・ヨンジは同階級の上位3人に与えられる五輪本大会のチケットを手に入れた。
なお、決勝は行われない。世界予選は国際オリンピック委員会(IOC)が主管する大会であり、出場権獲得のかかった試合まで行われる。
オ・ヨンジは最後の五輪出場のチャンスだった2次世界予選で快進撃を見せた。
ベスト32でポルトガルのカロライナ・フェレイラ(30)、ベスト16でメキシコのエスメラルダ・ファルコン(29)をそれぞれ5-0の判定勝ちで下した。
また、ベスト8ではイギリスのエイミー・ブロードハースト(27)と対戦し、4-1の判定勝ちを収めた。
韓国国内では敵なしの女子ボクシング界“第一人者”と呼ばれるオ・ヨンジは、2015年のアジア選手権で韓国女子選手として初となる金メダルを獲得した。また、2017年大会まで2連覇に成功し、2022年に通算3度目の優勝を果たしている。
このほか、2018年のジャカルタ・アジア大会で韓国女子ボクシング初の金メダルを獲得し、同年の世界選手権で銅メダルを獲得するなど、韓国国内の厳しいボクシング環境で先駆者の役割を果たした。
このため、韓国国内でオ・ヨンジは「女子ボクシング界のキム・ヨナ」と呼ばれてきた。
33歳となったオ・ヨンジにとって、選手キャリア最後に残された挑戦の舞台はオリンピックだ。
オ・ヨンジは前回の東京五輪で、アジア・オセアニア地域予選を1位で突破し、夢にまで見た五輪出場を成し遂げた。
しかし、コロナの影響で大会が1年延期となると、高校生をスパーリングパートナーに据えてトレーニングを重ねるなど、その場しのぎの環境でコンディション作りを図ったが限界があった。
他大陸選手と比べて大会に参加できる環境が整っておらず、実戦感覚の維持に苦しんだ。結局、東京五輪本大会ではベスト16で敗退し、早期帰国を余儀なくされた。
そして今回、引退前最後の五輪を夢見たオ・ヨンジの望みが実現した。
オ・ヨンジは本紙『スポーツソウル』を通じて「パリ五輪を期待してほしい。今回は本当に楽しみながら全力を尽くす」と伝えた。30代中盤という年齢もあるだけに、単純な結果を越えて“ラストダンス”の意味で、パリ五輪を悔いなく戦うという意志が込められた。
なお、今年1月に韓国ボクシング協会会長に就任したチェ・チャンウン会長は、現地で選手たちを応援した。
また、モチベーション向上のため、五輪出場権を確保した選手に1000万ウォン(日本円=約113万円)の褒賞金を設定。パリ五輪本大会では、金メダルに1億ウォン(約1139万円)、銀メダルに5000万ウォン(約569万円)、銅メダルに3000万ウォン(約341万円)の褒賞金を約束した。
前へ
次へ