5試合で9失点だ。韓国Kリーグ1(1部)2連覇中の王者・蔚山(ウルサン)HD FCが、相次ぐ“守備陣の自滅”に頭を悩ませている。
ホン・ミョンボ監督率いる蔚山は、4月2日に敵地・大田(テジョン)ワールドカップ競技場で行われた大田ハナシチズンとのKリーグ1第5節で0-2の完敗を喫した。
今季リーグ戦初黒星となった蔚山は2勝2分1敗の勝ち点8とし、暫定順位が12チーム中3位に落ちた。
まだシーズン序盤なだけに順位そのものに大きな意味はないが、現在のホン・ミョンボ監督体制において類例を見ない“失点率の高さ”が問題だ。
昨季の第5節終了時点ではわずか3失点で、同期間では12チーム内で最も失点が少なかった。
17年ぶりにKリーグ1優勝を果たした2022年シーズンはさらに堅守だった。序盤の5試合の失点数はわずかに「2」だったのだ。
ところが、今季の蔚山は去る3月1日に行われた浦項(ポハン)スティーラーズとの開幕戦(1-0で勝利)を除き、以降の4試合すべてで失点を記録している。
それも各試合で2失点以上だ。
3月9日の第2節金泉尚武(キムチョン・サンム)戦は3-2で勝利、17日の第3節仁川(インチョン)ユナイテッド戦は3-3で引き分け、30日の第4節全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータース戦は2-2で引き分け、4月2日の第5節は大田に2失点して敗れた。
暫定ではあるが、蔚山は現時点で失点数がKリーグ1全12チーム中最多となっている。
最近では、かつてFC東京、大宮アルディージャ、ガンバ大阪にも在籍し、2023年シーズンのKリーグ1年間MVPにも輝いた韓国代表DFキム・ヨングォン(34)が連続で凡ミスを繰り返している。
特に大田戦、キム・ヨングォンは後半3分に中盤左サイドでボールを持つと、相手のプレスを受けてバックパスを試みた際、これが中途半端となり相手FWレアンドロ(29)への“絶妙なスルーパス”に。結局、独走したレアンドロはGKとの1対1を冷静に制し、先制ゴールを挙げた。
振り返ると、第3節の仁川戦でも同様の場面があった。
当時、蔚山の1点リードで迎えた前半38分、キム・ヨングォンの自陣での安易なバックパスがやはり相手FWステファン・ムゴシャ(32)に奪われ、痛恨の同点弾を許したのだ。
また、後半早々には仁川のカウンターでムゴシャにワンタッチでかわされ、その後逆転ゴールを与えていた。
ただ、これらはキム・ヨングォンの「衰え」や「集中力低下」というより、守備陣全体の連係不足という声もある。
蔚山は冬の移籍市場で守備陣の主力が一部抜けた。元サガン鳥栖、鹿島アントラーズの韓国代表DFチョン・スンヒョン(30)がUAEのアル・ワスルへ、韓国代表DFキム・テファン(34)がライバルの全北へ移籍した。
何より、キム・ヨングォンは冬の期間、韓国代表としてアジアカップに出場した関係で蔚山のキャンプに参加することができなかった。
3月の国際Aマッチ期間も韓国代表に招集され、タイ代表との北中米W杯アジア2次予選2連戦に出場した。
このため、新加入のDFファン・ソッコ(34)やDFシム・サンミン(30)、ブラジル人MFマテウス(28)など、大田戦で先発出場した守備陣と連携を深めることができなかった。
大田戦でミスを犯した際も、すぐ近くにはマテウスがいたが、キム・ヨングォンとの連係が合わなかった。
とはいえ、キム・ヨングォンは経験豊富なベテランだ。このような“変数”も個人戦術と経験で克服しなければならない。
蔚山はキャプテンであり、守備陣のもう一人の中核選手である元韓国代表DFキム・ギヒ(34)が負傷離脱中だ。彼の穴を埋める意味でも、キム・ヨングォンが背負う責任は大きい。
なお、蔚山は今月行われるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝で横浜F・マリノスと対戦する。第1戦は17日にホームの蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場、第2戦は24日にアウェイの日産スタジアムで行われる予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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