「どうしてそれを知らないんだ?」
日本を代表するMLBスーパースター、大谷翔平(29、ロサンゼルス・ドジャース)が困惑した状況に陥っている。彼は自分を「被害者」と訴えている。
だが、その一方で特有の“神秘主義”が事を大きくしているという指摘もある。疑いは強まるばかりだ。
大谷は3月26日(日本時間)、自ら記者会見を開いた。彼は「何かに賭けたり、スポーツイベントに賭けたり、ブックメーカーに送金を依頼したことはない」とし、違法賭博疑惑の元通訳・水原一平氏が賭博による借金を抱えていることを知らなかったと伝えた。
ドジャースは大谷をかばっている。デーブ・ロバーツ監督は「大谷は正直だ。私とドジャースは大谷を支えている。 調査は当局が行うだろう。我々は野球に集中する」と話した。
大谷が水原氏の騒動に直接乗り出したわけだが、疑いの目は依然として残っている。
最初に事が起こった日付が3月21日だ。前日の20日、韓国で行われたMLB開幕戦第1戦の試合後、水原氏はドジャースの選手たちの前で公に謝罪した。自身が違法スポーツ賭博に陥り、450万ドル(日本円=約6億7500万円)の借金をしたと告白した。ドジャースはすぐに水原氏を解雇した。
水原氏は当初、大谷が自身の借金を肩代わりしたと述べたが、遅れて「大谷はまったく知らない」と発言を翻した。すでに大谷の口座から、ブックメーカー業者のマシュー・ボウヤー氏へ送金されたことが確認された状態だ。
「大谷が水原氏の賭博の事実を知りながら送金したとすれば懲戒に値する」という話が出た。さらには「大谷も賭博をした可能性がある」という推測まで出た。
ただ、大谷はこれといった言及をしなかった。21日に開幕戦第2戦を正常に消化し、直ちにアメリカ行きの飛行機に乗った。帰った後も大谷は黙り込んでいた。ドジャースも同じだった。
そして、時が過ぎた26日、大谷が報道陣の前に立った。会見は約12分程度行われ、質疑応答もなかった。
問題は、先にスポークスマンを通じて明らかにした内容と大差がないという点だ。大谷は水原氏の賭博を「まったく知らなかった」と言い、自身を被害者だと主張した。
核心は「どのように」だ。
水原氏がどのようにして自身の口座にアクセスし、送金をしたのかをハッキリと公開すべきだった。450万ドルという資金が流出したにもかかわらず、その事実を知らなかったというのだから疑わざるを得ない。
これまで本当に知らなかったのであれば、事態がどのように進行されたのか、今からでも正確に知っていなければならない。
アメリカ経済紙『フォーブス』は26日、「大谷が賭博スキャンダルで潔白を保つことが難しい理由」として、「金融機関は通常、電信送金に限度額を設けている。身元確認や書類作業などを経て、限度額を高めることができる。450万ドルが流出したにもかかわらず、本人が知らなかったというのは不可能だ。大谷氏が自ら送金したというのであれば、話はまた戻る」と指摘した。
また、MLB通算最多安打記録(4256本)を持ちながら、違法賭博関与で永久追放となったピート・ローズ氏は、「私にも通訳がいれば処罰されなかっただろう」と大谷に対する皮肉を伝えた。大谷が後ろに隠れ、水原に罪を被せているというニュアンスだ。
“神秘主義”は優れた戦略だ。他人の好奇心を刺激し、より多くの関心を呼び起こすことができる。しかし、やりすぎはよくない。アメリカ現地でも「インタビューをあまりしない」という批判もある。
思えば、オフシーズンのFA交渉もそうだった。「契約過程があまりにも秘密だ」と指摘が飛んだ。
今回のように良くない事象が起きた場合はなおさらだ。潔白を主張することも良いが、疑いを強める必要はない。
はたして、大谷は最後まで“神秘主義”を貫くのか。ドジャースにも責任がある。一部から疑いを持たれる以上、何かハッキリとした答えを示す必要がある。
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