「ラグビーW杯で躍進した日本のように」7人制ラグビー韓国代表が悲願の五輪初出場へ挑む

「今回が最後のチャンスと考え、切実なる挑戦に臨む」

ソ・チョンオ監督(52)率いる7人制ラグビー韓国代表は、11月23日から24日にかけて仁川南洞アジアードラグビー場で行われる2020年東京五輪アジア予選に出場する。

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香港やスリランカ、中国など計9カ国が参加する今回の予選では、優勝国のみに本戦出場権が与えられる。23日に行う各プールに分かれての総当たり戦で、韓国はアフガニスタン、スリランカとともにプールCに入った。各プール1位と2位及び、各プール3位国のうちの上位2チームが、24日の決勝トーナメントへと進出できる。

7人制ラグビーは、2016年リオ五輪から正式種目として採用された。日本国内ではラグビーワールドカップの影響もあって競技人気が高まっているが、韓国でラグビーは不人気スポーツの部類に入る。

だが、そんな韓国にも“不人気スポーツ”脱却のチャンスが訪れた。アジア最強国の日本が開催国枠としてオリンピック本戦出場を決めているため、アジアからもう1カ国の本戦出場が可能となったのだ。

7人制ラグビー韓国代表

11月20日、鎮川選手村ラグビー場でソ監督は「予選に日本がいない今回が絶好のチャンスだ。選手たちは切実に準備を進めている。オリンピックに出場できれば、韓国内でラグビーの認知度も高められる。韓国ラグビーの歴史がもう1段階発展するチャンスと考え、命を懸けて臨む」と、並々ならぬ覚悟を表した。

続けて、7人制ラグビー韓国代表キャプテンのパク・ワンヨンも「オリンピックは夢の舞台だ。代表の主力は20代後半から30代半ばの選手が多く、次回のオリンピックには出られないかもしれない。今回がラストチャンスと考えている」と語った。

悲願のオリンピック出場に立ちはだかる最大の難敵、香港

韓国最大の難敵は香港だ。

香港は、ワールドラグビーによる世界ランキング(11月22日現在)で日本(8位)に次ぐ21位とアジア2番目に位置している。31位の韓国からすると、格上であることは間違いない。

香港のメンバーは、大半が南アフリカやイギリスなど自国以外の出身選手によって構成されている。フィジカルが強く、多くの選手が幼い頃からラグビーを指導されてきたため、プレー水準も高い。

一方の韓国は、メンバー全員が韓国人選手によって構成されている。ソ監督は「ラグビーはフィジカルが重要な競技だ。フィジカルの優れた選手が多い香港は有利だろう。簡単な試合とはならないはずだ」と述べた。

練習でスクラムを組む代表選手たち

だが、韓国にも勝算がまったくないわけではない。

7人制は、通常の15人制と同規格の会場で試合を行う。グラウンドに立つ選手数は30人から14人へと大きく減る分、空いたスペースが増えるため、チーム戦術よりも個人スキルやサインプレーによって結果が左右される。

試合時間は前後半各7分の計14分だが、1人当たりの走行距離は3キロ以上。そのうち2キロ程度は最高スピードでスプリントしているため、体力の消耗も激しい。前後半で合計80分の15人制と比べ、試合時間が格段に短い理由はここにある。

つまり、スピードと体力が7人制を制するカギとなるのだ。

ソ監督は「我々はフィジカル面では劣るが、スピードでは相手を上回れる。最終エントリー13人から外れた5人を含む総勢18人の代表メンバーが、思いをひとつにして準備をしている。“ONE TEAM”となって試合ができれば、難敵が相手でも攻略できるだろう」と確固たる決意を語った。

パク・ワンヨンも「香港は我々よりも格上の相手だが、試合がどうなるかはやってみなければわからない。我々は熱心にトレーニングを続け、コンディションも仕上げてきた。(予選が)ホームで開かれるだけに、必ず勝利をつかみ取りたい」と強調した。

韓国ラグビー史の転換点へ「ラグビー選手を夢見る若い世代のために」

7人制ラグビー韓国代表がオリンピック出場を熱望する理由は、国内におけるラグビー大衆化の促進に他ならない。

韓国内で活動する社会人チームは現在たったの3チーム(韓国電力公社、ポスコ建設、現代グロービス)のみ。一般選手は約100人程度しかいない。それほど韓国におけるラグビー環境は劣悪なものなのである。

オリンピックのような世界的な大舞台に出場して注目を浴びれば、韓国内でもラグビーが慣れ親しんだスポーツとなると同時に、プレー環境の改善・発展にもつながるだろう。

7人制ラグビー韓国代表率いるソ・チョンオ監督

ソ監督は「韓国でラグビーを30年以上続けてきた1人の人間として、悔しい気持ちが大きい。史上初のオリンピック出場が、韓国ラグビーにとって新たな転機となることを期待したい」と話した。

パク・ワンヨンは、「後輩たちのためにも必ずオリンピックに出場しなければならない。将来ラグビー選手になることを夢見る若い世代が、今よりもさらに良い環境でプレーできるようになってほしい。オリンピックに出場できれば少しずつ環境も良くなると信じている。必ず東京行きのチケットを手に入れたい」と本戦出場へ熱い思いを語った。

ラグビーワールドカップでの躍進によって国内でラグビー人気を高めた日本代表のように、韓国代表もオリンピック出場によって国内における競技人気を高められるか。

7人制ラグビー韓国代表が、国内ラグビーの未来をかけた絶対に負けられない戦いに臨む。

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