ボルダラス氏は1993年から指導者生活をスタートさせ、これまでエルチェやアラベス、ヘタフェ、バレンシアなどスペイン国内のクラブを率いてきた。特に、アラベスやヘタフェではチームを1部昇格に導いたことで、「昇格請負人」という異名も持っている。
2021年にはバレンシアの指揮官として、当時所属していた韓国代表MFイ・ガンイン(21、現マジョルカ)とも縁を結んだ。
同年5月にボルダラス氏が就任し、直後の8月にイ・ガンインが退団したためかかわりは長く続かなかったが、ボルダラス氏は昨年12月にスペインメディア『レバンテEMV』とのインタビューでバレンシア時代の裏話を告白。クラブ側がブラジル人FW獲得のためにイ・ガンインを放出しろと指示したことを明かすとともに「イ・ガンインは良い選手だっただけに、理解できない決定だった」と話している。
今後、韓国代表の中心選手となり得るうイ・ガンインをよく理解している指導者という点で、韓国でも注目を集めている人物だ。
次に取り上げられた候補は、かつて日本代表監督も務めたボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身のヴァイッド・ハリルホジッチ氏。ただ、ハリルホジッチ氏は韓国では「2014年ブラジルW杯で韓国代表に痛みをもたらした監督」と知られている。
というのも、ハリルホジッチ氏が同大会で率いたアルジェリア代表はベスト16入りを果たすなど、波乱を巻き起こしたからだ。当時、韓国とアルジェリアはグループステージで同居。結果は4-2でアルジェリアの大勝で、韓国は「無気力な試合の末に完敗」と非難を浴びた。
当時のアルジェリアは、対戦相手によって多様なサッカーを駆使しつつも、爆発的な攻撃力と整えられた組織力を兼ね備えたチームだった。
何より、前述したように2015~2018年に日本を率いた経験もあることから、アジアサッカーの特性をよく知っているという長所もある。
ただ、ボルダラス氏とハリルホジッチ氏の2人が、現在の韓国代表にふさわしい監督であるかどうかは未知数だ。というのも、次のような懸念要素が挙げられるからだ。