世界水泳「飛び込み」で韓国初の銅メダル!! キム・スジの東京五輪に向けた決意【インタビュー】

2019年09月14日 スポーツ一般 #東京五輪

光州で行われた2019世界水泳選手権大会から、早くも1カ月余りの月日が流れた。同大会の飛び込み種目で銅メダルを獲得し、一躍注目を集めたキム・スジ(21・蔚山広域市庁)は、大会前と何ら変わらない日常を送っている。

世界水泳を終えて1週間の休暇を過ごし、8月は鎮川(チンチョン)選手村でコンディション調整に専念。9月に故郷の蔚山へと戻り、所属チームに合流した。

一緒にプールに通い詰めた“お母さま方”の間では、未だに芸能人扱いを受けているが、ひとたびプールを出れば公共交通機関に乗るし、外食もする、いたって平凡な日常を過ごす。

キム・スジは、「飛び込みは他の水泳種目よりも注目が集まりにくいですが、今回の大会で想像以上に多くの方から関心をいただき、驚きました」と話し、「それでも道行く人に声をかけられることはあまりありません。どうやら水着を着ているときとはイメージが大分違うみたいです」と笑った。

それでも世界水泳で経験した初めての大歓声は、キム・スジ自身に大きな衝撃を与えた。「飛び込みで韓国人選手歴代初のメダル獲得」「女子水泳選手初入賞」といったタイトルも、彼女にとっては刺激となった。

キム・スジは「本当に良い経験で、多くを学べました。これまでは“結果がどうであれ、自信を持ってやろう”と大会に臨んでいたけど、今はもう少しできると欲が出てしまうようです。“本当に後悔がないようにやるべき”という考えが生まれました」と、東京五輪を見据えた。

世界水泳の飛び込みで銅メダルに輝いたキム・スジ

サッカーゴールに登ったおてんば娘、“飛び込み”に才能見出す

キム・スジは、幼い頃から怖いもの知らずであった。アパートに住んでいた6歳のときは興味本位で手すりの上を渡り、それを見つけた母にこっぴどく叱られた。

その活発な性格は小学校に入学しても相変わらずで、男子がサッカーをするために運動場に集まるなか、なぜかキム・スジはサッカーゴールをよじ登って上から友達を見下ろしていたという。ただただ高いところに登るのが好きだった“おてんば娘”は、木登りも大好きだった。

当時の担任の先生は、そんな彼女の姿に飛び込みの才能を見出した。それまで1年程度しか水泳を習ったことのなかったキム・スジは、その年に創立された小学校の飛び込みチームに入るとメキメキと頭角を現し、中学3年生だった2012年には選手団最年少でロンドン五輪代表にも選ばれた。

そんな彼女の前にも、壁は幾度か立ちはだかった。

「飛び込みをやめたいと思ったことは?」と聞くと、真っ先に小学校2年生の頃と挙げたキム・スジ。「スプリングボードのすぐ近くを飛んだ拍子に、ふくらはぎから足首までを一気に切ってしまったことがありました。あのときは幼く、再びやろうにも恐怖が勝り、やめたいと思ったことも…」と当時を振り返った。

しかし「小さい頃は“いずれやめる”という言葉をよく言っていて、実際に小学生でやめるつもりでいましたが、結果が出てからはそう思うこともなくなりました。高校生になってからは体も大きくなり、技術の難易度を下げざるを得ないときもあって、スランプにも陥りました。それでも続けられたのは、私にとって飛び込みしかなかったからです」と言い切った。

キム・スジ(左)と親友パク・スギョン

「必ず韓国代表に」2020年東京五輪でリベンジ誓う

オリンピックは、キム・スジにとって苦い思い出の多い舞台だ。初出場のロンドン五輪では最下位に終わり、4年後のリオデジャネイロ五輪では代表選抜戦で敗れ、ブラジルに向かう飛行機にすら乗れなかった。

だからこそ、2020年東京五輪への出場には誰よりも強い思いを持つ。

キム・スジは「リオ五輪のときは心の準備もできておらず、コンディションも優れませんでした。さまざまなことが重なって、メンタル的にも良くなかったです。ですが今はとても落ち着いていて、そう簡単にぶれることはありません。スプリングボードだけに集中しています」と話した。

そして「飛び込みは予測のできない種目。オリンピックのメダリストが予選を通過できないこともしばしばあります。でも、私にとってはそれが楽しさでもあり、私にもいつか必ずチャンスが来ると信じています」と決意した。

東京五輪への切符をかけた戦いは、すでに始まっている。9月は金泉(キムチョン)で開かれるMBC杯全国水泳大会に出場し、10月の第100回全国体育大会を見据えたウォーミングアップを行う。そして12月には、来年4月に控えるFINAワールドカップの選抜戦に出場する。

「あまり遠くを見ても、その道のりでいろいろと考えてしまう。まずは、国体で結果を残すために集中します」というキム・スジは、「私も飛び込み台に立つと、怖く感じるときがあります。でも、怖くても“もう1回!”と叫んでまた続けられます。次はもっと上手くできると期待を感じるので、飛び込みはまさに私の天職のようです。目の前のチャンスを逃すことなく、必ず勝ち取りたいです」と、高らかに意気込んだ。

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