韓国オリンピック代表キム・ハクボム監督が構想する「毒にも薬にもなる」ワイルドカードの使い方

2021年07月06日 サッカー #東京五輪

メダル獲得に挑戦する東京五輪男子サッカー韓国代表のグループリーグ初試合(7月22日、ニュージーランド戦)が16日後に迫ってきた。

【注目】東京五輪、ファン・ウィジョが語る決意

オリンピックに参加する他の国と比較して、選手選考に長い時間を要したキム・ハクボム監督は、最終エントリー22人を比較的遅く発表し、組織力の最大化の真っ最中だ。

その中心になるワイルドカード三銃士(ファン・ウィジョ、クォン・チャンフン・キム・ミンジェ)が重要だ。残りの19人の選手は、ほとんどが6月の最終エントリーを発表する前に実施した招集訓練で息を合わせてきた。だがワイルドカードのリソースが合流して、オリンピック選手と呼吸を合わせる時間は実質的に半月しかない。

(写真提供=韓国サッカー協会)ファン・ウィジョ

それでもファン・ウィジョとキム・ミンジェは3年前、キム監督が指揮を取ったジャカルタ・アジア大会にワイルドカードと主力選手として、それぞれ合流して金メダルを獲得したことがあり、スピードと機動力を基本カラーとするキム監督をよく知っている。

また世代別大会でも様々な経験を積んでいるため、チームに溶け込む時間を短縮できるという期待が大きい。実際にキム監督はファン・ウィジョ、キム・ミンジェがA代表でも攻守の要として活躍しているだけに、即戦力になるという理由だけでなく、自分と大会を行った経験がある点を考慮してワイルドカードとして選抜した。

毒にも薬にもなるワイルドカード

歴代オリンピックサッカーにおいてワイルドカードは、上手く使えば薬となるが使えなければ毒となった。オリンピックで年齢が23歳以下に制限されたのは、1992年のバルセロナ大会からだ。ただ興行失敗の影響から、チーム当り最大3人までの年齢制限を受けない、ワイルドカード制度が導入された。

韓国サッカーは草創期からA代表の主力選手をワイルドカードとしてしばしば抜擢したが、負傷や既存の選手との融和問題から、むしろマイナスになった事例もある。また、ワイルドカードに過度の期待を持つことで、当事者が大きな負担を感じて活躍できないというケースも発生した。

ワイルドカードの模範解答といえる大会は、歴代最高成績の銅メダルを獲得した2012年のロンドン大会だ。まずキ・ソンヨンとク・ジャチョルを中心に、これまで以上に競争力のある23歳以下の選手がチームの枠組みをよく作り出した。 そして当時のホン・ミョンボ監督が、戦力上必要なポジションに3枚を使用した。ストライカーのパク・ジュヨンパク・ジュヨンとディフェンダーのキム・チャンス、そしてゴールキーパーのチョン・ソンリョンだった。

パク・ジュヨンパク・ジュヨンは兵役問題で議論の渦中だったが、ホン監督が果敢に抜擢。彼は日本との3位決定戦で決勝点を決めるなど、重要な試合で“一発”を決め、信頼に応えた。また、キム・チャンスとチョン・ソンリョンはメジャー大会で守備陣に安定感を吹き込む活躍だけでなく、先輩としての地位を押し出さず、後輩たちに近付いてチームの勝利に貢献した。

キム監督も9年前、ロンドン五輪の事例と同様、ワイルドカードの起用に成功している。当時のパク・ジュヨンのように、フランスのリーグ・アンで全盛期を迎えたファン・ウィジョが勝負所で決めるストライカーになることを望んでいる。

キム・ミンジェは、チーム内で弱点とされるセンターバックを務めることで、守備に安定感を与える。クォン・チャンフンは攻撃ポジションであれば自分の役割をするマルチプレイヤーであり、嫌なことも引き受けてくれる。

キム監督は、ワイルドカード3銃士がこれまで以上に実力とチームワークを深める中心的な役割をしてくれることを期待して、東京の舞台を描いている。

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