「まだ何かを申し上げることは…」
東京五輪を100日後に控えた4月14日、韓国は忠清北道鎭川(チュンチョンブクト・チンチョン)の韓国代表選手村で開かれたメディアデーで最も大きな話題となったのは、韓国代表選手たちの“ワクチン接種”に関するものだった。
しかし、イ・ギフン大韓体育会長をはじめ、チャン・インファ選手団長、シン・チヨン選手村長らは明確な答えを出せず、「文化体育観光部、疾病管理庁と話し合っている」と述べるに終始していた。
選手村内の韓国代表たちの不安は日増しに大きくなっているようだ。特に、韓国男子フェンシングの看板スター、オ・サンウクが、3月にハンガリー・ブダペストで行われたフェンシングW杯で優勝して帰国したあと、新型コロナの陽性判定を受けたため、韓国スポーツ界はさらに騒がしくなっている。
当該大会では、日本代表も含めて参加国の一部選手にコロナ陽性判定が相次いだ。そのため、より大規模な選手が集まるオリンピックに対して、緊張感は大きくならざるを得ない。しかも、五輪開催地は依然としてコロナの余波が収まらない日本だ。
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オ・サンウクは陽性判定後に入院治療を行っていたが、13日に無事陰性と判定され、退院している。しかし、治療の過程で大きな苦痛を感じたとし、現在は正常なコンディションを取り戻すことに注力しているそうだ。
今回の件で、フェンシングだけでなく多くの種目の選手たちが、ワクチン接種の必要性を実感するようになった。オリンピック開催まで100日を切った状況で感染してしまうと、これまで精一杯積み上げてきたものが崩れる可能性もある。
フェンシング男子代表チームのク・ボンギルは、「同僚が陽性判定を受け、コロナ禍を実感した。選手らは(ワクチン接種が)不安だが、受けた方がいいと思う」と語っている。
男子テコンドーの看板スター、イ・デフンは、「ワクチンの副作用に対する心配はどうしてもある。しかし、最大限安全なワクチンを打つというから…」とし、「今打てば、今後日本に行ってもコロナへの対応ができると思う」と述べた。
男子体操の英雄ヤン・ハクソンも、「全国民がワクチンを打っているのではないか。我々もそうすべきだと考えている」としている。
ここで噴出した問題は、韓国代表選手がワクチン接種に対して肯定的な意見を述べるなか、依然として具体的な接種計画が出ていないことだ。
オリンピックやパラリンピックに出場する韓国代表のワクチン接種リストは、すでに防疫当局へと提出されている。当初は4月中旬から接種が開始される予定だったが、100日を切った現在まで何の知らせもない状況だという。
遅れている理由は、選手に使用予定だったAZワクチンに血栓症の副作用が出たからだ。そして、疾病管理庁がAZワクチンを満30歳以上に限って接種するという方針を立てたため、計画が狂ってしまっている。
さらに、AZワクチンは8~12週と接種周期が長く、5月に1度目の接種を受けると大会間近の7月に2度目の接種を受けなければならない。大会直前に接種すると選手の体調に問題が発生する可能性もあるだけに、期間が3週間と短いファイザーワクチンを接種すべきだという主張も出ているそうだ。
イ・ギフン会長は、「今も選手村で文体部、疾病庁と話し合っている。どのワクチンを接種するべきか、すぐに整理されるだろう。AZワクチンの問題でまだ時間がかかっている」と現状を伝えている。
村長のシン・チヨンは、「AZワクチンを受けるとなると、日程上の問題が生じると思う。ただ、ファイザーやヤンセンなども問題が出ていた」とし、「種目毎に、どの時期に接種したらいいかという調査はしておいた。防疫当局で具体的な話がないため、待たなければならない(状況だ)」と強調した。
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