まず非難があるのは、変異ウイルスの続出で一日1000人以上の新規感染者が出ている日本に、あえて行く必要があるのかという指摘だ。特に3月に予定されたワールドカップ予選が新型コロナの影響で6月に延期されたため、その声はさらに大きくなった。
また日韓戦は日本サッカー協会の提案をKFAが受け入れながら開催が決まったのだが、その意図についても不満があった。東京五輪の開催に死活をかけ、国際大会を正常に行えるという証明のために、日本が韓国を利用しているのではないかという視線だ。
偶然にも日韓戦が行われる日は、オリンピックの聖火リレーが始まる日でもある。
それでもサッカー韓国代表のベント監督は、3月15日のメンバーを発表の記者会見で「すべての社会構成員が新型コロナでも防疫可能な範囲内で働いている」とし、「私たちがしなければならないことはサッカーをすること」と非難世論に厳しい忠告を与えた。
彼の言葉通り、新型コロナの状況下だからといってすべてのサッカーを止めることは正解ではない。韓国代表は3月22日午前、仁川(インチョン)国際空港を通じて歴代80回目となる日韓戦が開かれる日本に出国した。
しかしメンバー発表から日本行きの飛行機に上がるまでの過程は、釈然としなかった。
まず、蔚山現代からの“偏った選抜”が議論の対象になった。Kリーグ5連覇に挑戦する全北現代からは1人も選出されなかったが、対照的に蔚山現代からは6人(最終的に7人)も選抜したからだ。
選手の選出は監督だけの権限といえるが、それに先立って所属クラブとしっかりとしたコミュニケーションもなく、一方的に大量の選手を引き抜いたことで非難の声が大きくなった。特に世代別からA代表の監督を務め、昨年までKFA専務理事として活動した蔚山現代ホン・ミョンボ監督が「まともにコミュニケーションしてほしい」と声を上げるほどだった。
実際に世界のどこでも代表チームの監督はクラブと、選手選出などの様々な情報について共有し、共感できるようにしている。そのためFCソウルのパク・ジンソプ監督など、他クラブの指揮官もホン・ミョンボ監督の見解を支持した。
ホン・ミョンボ監督が「コミュニケーション」を叫んだのは、単純に多くの選手を選出されたからではない。今回選ばれた左サイドバックのホン・チョルは、負傷から回復したばかりだった。最近はコンディションが戻らず、エントリーから除外されているほどだ。
ところがベント監督はホン・チョルをエントリーに入れ、当初、メンバー発表会見で彼は選抜基準を問う取材陣の言葉に、「最近の競技力とコンディション」と述べた。ホン・チョルがその基準を満たしていないのは明らかだろう。
代表チームでコーチ経験をしたA氏は、「ホン・チョルはトレーナーなど、コーチ同士で対話をしていたら、おそらく選ばれなかったと思われる。コンディションをまともに把握しているのか、疑問視されても仕方がない」と述べた。
さらに理屈に合わないのは、ガンバ大阪に所属するチュ・セジョンを選抜したことだ。
KFAは韓国代表の出国前日である3月21日21時過ぎ、チュ・セジョンが所属クラブで実施した新型コロナ検査で陽性判定を受け、招集から除外されたとし、イ・ジンヒョン(大田ハナシチズン)を代替で抜擢したと発表した。
ところが、そもそもチュ・セジョンの所属するガンバ大阪は、新型コロナの集団感染で3月初めから活動停止になった状態だ。チュ・セジョンもすでに3月初めに陽性判定を受け、治療と自主隔離をしていたことが明らかになった。
それでもベント監督は、3月15日にチュ・セジョンを代表メンバーに上げた。サッカーの正常化を叫びながら、「防疫優先」を強調したベント監督が、新型コロナ検査で陽性判定が出て、再検査の結果も出ていない選手を選抜したことは、常識的に考えても理解が難しい。
さらにKFAは、ソン・フンミンの合流が早々に白紙となったにもかかわらず、奇妙な解明を行い、ひんしゅくを買った。
本紙『スポーツソウル』は3月20日にKFA関係者をはじめ、トッテナム、現地事情に精通した関係者を通じて、ハムストリングを負傷したソン・フンミンの日韓戦招集が最終的に失敗に終わったことを単独報道した。
しかしKFA関係者は、他のメディアに「ソン・フンミンのAマッチ選出に関連した文書がまだ到着していない」とし、「3月22日のトッテナム対アストン・ヴィラでソン・フンミンが出場するかどうかを見て決める」とした。
本紙の取材によると、トッテナムはすでにKFA側にソン・フンミンの選出が難しいという意味を示した。ベント監督も先週末、代替者としてキム・インソンを指名して協力を要請していたことがわかった。
そもそもトッテナムとアストン・ヴィラの試合は韓国時間で3月22日、代表チームが出発する4時間ほど前の午前4時30分にキックオフした。その試合を見た後、ソン・フンミンの選出や代替者を決定すると対応したことは、明らかに理屈が合っていない。
結局のところ、KFAは前日の3月21日、ソン・フンミンの除外を明らかにし、キム・インソンの代替抜擢を発表した。
いずれにしても今回の日韓戦と関連したサッカー韓国代表とKFAの動きは、どれも納得しづらいものばかりと言わざるを得ない。