波乱万丈なメジャーリーグ初シーズンを終えたキム・グァンヒョン、価値は十分にあった

セントルイス・カージナルスに所属するキム・グァンヒョン(32)が、険しかったメジャーリーグでの初シーズンを終えた。

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夢に描いた大リーグ進出を果たしたが、新型コロナウイルスという予期せぬアクシデントにより、すべてが不明瞭な状況下で不安が募る日々を送った。それこそ“ジェットコースター”のようなシーズンを送った、といっても過言ではない。

オープン戦の好投で、開幕ローテーション入りの可能性も見えたが、アメリカ全土に広がった新型コロナにより春季キャンプは中止され、メジャー初挑戦に暗雲が立ち込めた。シーズン開幕が無期限延期され、単身アメリカにとどまることとなったキム・グァンヒョンは、家族と離れたまま孤独な日々を送らざるをえなかった。

紆余曲折の末、シーズンはスタートしたものの、カージナルス内で起こった集団感染により、予定された試合が次々とキャンセルされる悪夢のような体験もした。

チームは比較的早く落ち着きを取り戻したが、殺人的なスケジュールを送ることとなった。しかしキム・グァンヒョンにとってその状況は、必ずしも悪影響ばかりではなかった。

キム・グァンヒョン

クローザーとして開幕を迎えたが、先発陣の相次ぐケガにより、本来希望していた先発投手に抜擢されることとなったからだ。

先発投手としてチームを牽引

シーズンがシャットダウンされたときも、地道にトレーニングを続けていたキム・グァンヒョンの真価は、先発投手として輝き始めた。レギュラーシーズンで登板した8試合の内、クローザーとして出場した1試合を除く7試合で3勝、防御率1.42を記録し、カージナルスの先発陣を復活させた。

シーズン中に腎梗塞を発症して一時離脱したが、すぐに回復し、復帰後も好投を続けた。タイトな日程の中でもカージナルスがプレーオフに進出できた要因の一つとして、彼の活躍は欠かせなかった。

レギュラーシーズンにおけるキム・グァンヒョンの活躍に触発されたカージナルスは、サンディエゴ・パドレスとのワイルドカード決定戦第1戦の先発にキム・グァンヒョンを選択し、周囲を驚かせた。

レギュラーシーズンのOPS(出塁率+長打率)4位を誇るパドレスを相手に、3.2イニングで3失点と苦戦したが、リードを守り切り1戦目を勝利に導いた。

カージナルスは2戦目、3戦目での敗北により、プレーオフから退くこととなったが、キム・グァンヒョンにとっては十分意義のあるシーズンだったといえるだろう。

メジャー初挑戦の年に新型コロナという未曽有の危機に直面し、難しいシーズンではあったが、腐ることなくトレーニングに励み自身の実力を示すことで、メジャーでも通用するということを証明することができた。

新人王候補に挙げられたのも、アメリカで能力を認められたということだ。メジャー初年度からプレーオフを経験したことも大きな糧となっただろう。

今シーズンは全60試合と短縮されたが、短期間で自身の価値を証明し、来シーズンへの希望も見出した。今年の経験を生かして来シーズンも活躍できれば、息の長いメジャーリーガーとなれるだろう。

激動のシーズンを終えたキム・グァンヒョンは今週、韓国へと帰国する。

オフシーズンのスケジュールは完全な“休息”が予定されている。帰国後2週間の隔離を経て、念願の家族とのオフを満喫する予定だ。関係者は「韓国に戻り、休息を取った後、次のスケジュールを決定する。落ち着いたら記者会見を設けることも考えている」と明らかにした。

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