柏レイソルが今シーズン昇格したばかりのJ1リーグで好調ぶりを見せるなか、隣国では一人の元柏戦士が同じく昇格組で奮闘している。
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その名はキム・チャンス。ネルシーニョ第1次政権5年目の2013年、オーバーエイジ枠で出場した前年のロンドン五輪で銅メダルを獲得した実績を引っ提げ、柏レイソルへと加入したサイドバックだ。
彼は同年のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)制覇やアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)ベスト4進出に貢献。2014年にはブラジルワールドカップに出場する韓国代表メンバーにも選ばれた。
2015年シーズン終了まで柏に在籍し、リーグ戦通算69試合に出場したキム・チャンスはその後、韓国Kリーグに復帰。今季はKリーグ1(1部)に昇格した光州(クァンジュ)FCで活躍している。
韓国復帰後のキム・チャンスは常勝軍団に身を置き、数々の優勝を味わってきた。
2016年には全北現代(チョンプク・ヒョンデ)モータースでACL優勝を経験。2017年に蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)FCへ移籍してからは、同年にFAカップ優勝を果たした。
そんな彼が2019年シーズン終了後に蔚山現代を退団し、次なる新天地に選んだのが、韓国南西部に位置する地方クラブの一つ、光州FCだった。
光州FC は2010年の創設から10周年を迎えたばかりのクラブで、Kリーグにおける“エレベーターチーム”。昇降格制度が導入された2013年から約2年刻みで昇降格を繰り返し、昨シーズンに2部で初優勝。2度目の1部昇格を果たしていた。
ただ、選手年俸総額が1部最下位で戦力も決して豊富ではない光州FCは、2020年シーズン開幕前から早くも降格筆頭候補と叫ばれる。そんなチームに経験と実力を兼ね備えるキム・チャンスが加入したのだから、当時は国内で彼の移籍を驚く声が多く挙がった。本人も「“意外”との声があったし、僕自身も光州FCに加入するとは思わなかった」と本音を語る。
キム・チャンスは1部残留を目指すチームで決意を新たにする。「僕が前に出る必要はないけど、チームが苦しいときや自分が必要とされるときに助けになりたい。グラウンドの内外で力になれる先輩でありたい」と年長者らしく振る舞う一方で、「試合に出られるようたくさん努力するつもりだ」と “一選手”としても謙虚に誓ったのだ。
今シーズン、光州FCは第14節まで終えて4勝2分8敗の12チーム中8位と、“降格筆頭候補”との前評判を上回る奮闘ぶりを披露。左右両方のサイドバックをこなすキム・チャンスはリーグ戦11試合に出場し、献身的にチームを支えている。
だが、そんな彼も今年でキャリア17年目。2004年の同時期にデビューした仲間も、ひとり、またひとりとスパイクを脱いだ。気がつけば、キム・チャンスもKリーグで“古参”の一人と呼ばれるようになった。
本人はいずれ迎えるであろう引退の時を見据える。「現役生活はもう後半35分を過ぎている」と話す34歳のベテランは、自身の去り際もすでに決めている。
「今でも現役で活躍される先輩は多いけど、(先輩方と)自分と比較してほしくない。むやみに長く居座るのではなく、自分が最善を尽くせないとわかったとき、未練なくピッチを去りたい」
光州FCのクラブカラーは偶然にも柏レイソルと同じイエローだ。昇格組でキャリア晩年を過ごすキム・チャンスは、柏時代と同色のユニホームをKリーグの舞台でも身にまとい、今日もタッチライン際を駆け上がる。
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