予想できなかった展開だ。信じられてきた“セーブ王”オ・スンファンの不振で、サムスン・ライオンズの悩みが増した。
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オ・スンファンは韓国プロ野球KBOリーグの出場停止処分を消化し、去る6月9日になって初めて1軍に正式登録された。ただオ・スンファン不在でも、サムスン・ライオンズにはクローザーの心配はなかった。
オ・スンファンが復帰するまで、一時的にその役割を担っていたウ・ギュミンが見事なピッチングを見せていたからだ。そのためオ・スンファンも精神的なプレッシャーを減らし、ウ・ギュミンとバトンタッチをすることができた。
サムスン・ライオンズもオ・スンファンの合流で、2011年から2015年まで毎年優勝カップを手にした“サムスン王朝時代”に次ぐ、鉄壁のブルペンが完成されると固く信じていた。
しかし予想とは異なる流れになっている。7月に入って、オ・スンファンの不振が目立つのだ。
まず7月4日のLGツインズ戦では1イニング2失点、その1週間後に登板した7月11日のKTウィズ戦でも失点した。特にKTウィズ戦では、オ・スンファンの専売特許であるファストボールの球速が140キロ台前半で、彼の球威が落ちたのではという疑惑まで浮上した。
それでもサムスン・ライオンズのホ・サムヨン監督は、「3ボールの状況では打てと投げた球だろう。コンディションはまったく悪くない」と疑惑を一蹴した。
オ・スンファンはそれから3日後の7月14日のKIAタイガース戦、9回表に登板した。5-0とリードした状況で登板したのだが、ホ監督は「オ・スンファンは投げながら球威が上がっていくスタイルだ。点差に関係なく、今日の試合に出る予定だった」と、オ・スンファンの登板が予定通りであることを強調した。
オ・スンファンは安打と四球を許したが、無失点でKIAタイガース打線を防いで試合を締めくくった。
その翌日である7月15日のKIAタイガース戦でも、オ・スンファンはマウンドに上がった。状況は前日と180度違った。2-1とかろうじてリードを守っていた8回表、2死満塁の場面だった。絶対に失点が許されない状況だ。
しかしオ・スンファンは、パク・チャンホにタイムリーヒットを打たれて同点にされると、9回表にはキム・ギュソンとイ・チャンジンに連続ヒットを許し、“元同僚”チェ・ヒョンウに衝撃の逆転スリーランを浴びた。今シーズン初の敗戦投手となった。偶然にも同日は、オ・スンファンの38回目の誕生日だった。
サムスン王朝時代、オ・スンファンの存在は“越えられない壁”だったが、現在のオ・スンファンの球威は7年前に及ばない。
出場停止の懲戒でサムスン・ライオンズ復帰後も長期間、実戦を経験できず、今季は新型コロナの影響で開幕が延期された影響もあるのかもしれない。ただオ・スンファンの海外進出中に、KBOリーグ打者の技量も上がった。また若い打者は、「オ・スンファンを相手にする」という精神的なプレッシャーを感じることなく、堂々と立ち向かっている。
オ・スンファンから同点タイムリーを放ったパク・チャンホは、コンタクトにだけ集中してバットを短く持ち、オ・スンファンを攻略した。逆転スリーランの主人公チェ・ヒョンウも、オ・スンファンの“石直球”を狙ってホームランを放った。
変化が必要ということを知るオ・スンファンも、以前よりブレーキングボールを駆使して突破口を見つけようとしているが、まだ効果は大きくない。
鉄壁のようなサムスン・ライオンズのブルペンは、リーグ上位に留まるための原動力だ。打線が振るわないときも、マウンドの力で耐えてきた。しかしオ・スンファンの予期せぬ不振で、自慢のブルペンにも少しずつ綻びが生じている。
クローザーが崩れての敗北は、ただでさえ衝撃が大きい。それがオ・スンファンであれば、なおさらだ。このまま不振が長引けば、現在の居場所がなくなりかねない。サムスン・ライオンズは予期せぬ展開で不安が増加した。
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