“美女ゴルファーの元祖”ユン・チェヨン、日本で迎えた「第二の全盛期」を語る【連載コラム】

2018年12月16日 ゴルフ

2018年も日本では韓国女子プロゴルファーの活躍が目立った一年だった。

賞金女王にはアン・ソンジュ(5勝)が輝き、それに続いたのがシン・ジエ(4勝)、ファン・アルム(3勝)だ。

イ・ミンヨン、ぺ・ヒギョン、ユ・ソヨンなどもそれぞれ1勝を挙げており、韓国人女子選手だけで15勝を成し遂げた。

今季のJLPGAは38試合が開催されたが、その約40%を韓国人選手が占めたことになる。

そんななかで決して派手ではないが、着実な飛躍を見せたのがユン・チェヨン(ハンファQ CELLS)だ。

韓国時代は、人気と実力の両方を兼ね備えた選手だけが選ばれるKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)広報モデルに史上最多8年連続で選ばれる「美女ゴルファーの元祖」とも言われたユン・チェヨンは、2017年から日本を主戦場にしている。

優勝こそなかったものの、今季は29試合に出場し、11回のトップ10入り。年間MVPの選出基準となる「メルセデス・ランキング」でも9位になった(1位はシン・ジエ、2位はアン・ソンジュ、6位はファン・アルム)。

獲得賞金も5560万1586円で賞金ランキング17位になった。

韓国時代を含め自己最高の成績で、シーズン終盤にインタビューした彼女も、「今季はコース・マネジメントや精神面が成熟し、自分のゴルフをアップグレードできたかなと思う」と満足した様子だった。

だが、2017年から日本にやってきた日々振り返ると、苦労の連続だったという。

「1年目は連日のホテル生活や1人で行動することに慣れなかった。韓国ではホテル暮らしを繰り返すことはないし、家族や友人たちといつでも会えるのでリフレッシュもできる。1年目はそれもできない孤独な日々を耐えるのが精一杯でした」。

“来季が最後”のつもりで

ただ、ユン・チェヨンには幸いなことに同伴者がいた。イ・ミンヨンだ。

同じくハンファQ CELLSゴルフ団に属し、同じ時期に日本にやってきたイ・ミンヨンと行動をともにできたことで異国でのツアー生活を乗り切ることができたという。

それだけに5歳年下の後輩への感謝を隠さないユン・チェヨンだが、韓国の数え年で32歳(1987年3月5日生まれ)になる彼女も凄い。まさに日本で“第二の全盛期”を迎えていると言っても過言ではないだろう。

ユン・チェヨンも言った。

「韓国では若い選手が次々と台頭してきて、30代になると引退する選手も多いですが、私は時間を逆行しているようです(笑)。今季は成績が良いこともあって、“よくぞ日本に行った”と褒められることも多いです。

私は他の韓国人選手に比べると、遅くに日本に来ました。もっと早く来れば良かったと思わないこともないですが、遅く来たからこそ短く太く頑張ってみよう、とにかくやれるところまでやってみようという気持ちです。もう韓国女子ツアーのシードもないですし、日本ツアーに専念するのみですから」

今季は韓国ツアーに2試合しか出場しなかったこともあって、来季のKLPGAツアーのシード権はない。

その一方で来季日本ツアーのシード権を獲得したことで、日本女子プロゴルフ協会の正会員にもなった。ゴルフ選手として日本を主戦場にする覚悟も環境も整った。それだけに来季は是が非でも1勝を挙げたいと誓っている。

ユン・チェヨンの優勝経験は、2014年7月の韓国ツアー「済州サムダス女子オープン」の1勝のみ。デビュー10年目で成し遂げた初優勝で、プロデビューから実に160試合で達成した唯一の栄光だった。

だからこそユン・チェヨンは1勝の難しさとその重みを誰よりもよく理解しているが、今季、確かな自信を得たからこそ、日本挑戦3年目となる2019年は常に「優勝」を意識し狙っていきたいという。

「今年はトップ10回数が11回だったので、来年は15回が目標ですね。体力面もありますし、“来季が最後”という強い気持ちでプレーするつもりです」

30代になってやってきた日本で、選手としての全盛期を迎えつつある美女ゴルファーの元祖。2019年こそ優勝に手が届きそうな予感だ。

(文=慎 武宏)

初出:『スポーツソウル』(2018年12月13日)

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