不正を隠し出場停止→復帰して世界ランク急上昇の韓国女子ゴルファー、米国挑戦が「道義に反する」と批判のワケ

ある意味、韓国女子ゴルフ界で最も“話題性”のある選手だ。韓国女子ツアーの“興行保障小切手”ことユン・イナ(21)のアメリカ進出に国内が騒然としている。

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2024年シーズンの韓国女子ゴルフ界は、「ユン・イナの復帰」に始まり「ユン・イナのアメリカ行き」で終わる雰囲気だ。まさに“イシューメーカー”だ。

2003年3月生まれのユン・イナは、2022年に彗星のように韓国女子ゴルフ界に登場。今季の韓国女子ツアーでは21大会に出場し、優勝は1回のみにとどまっているが、獲得賞金総額は11億3610万4286ウォン(日本円=約1億2546万円)で、賞金ランキング1位という優れた実力を立証している。

そのほか、ドライバー平均飛距離3位(253.4ヤード)、グリーンオン率2位(78.5%)、平均ストローク1位(70.04打)など長打力と正確性を兼ね備えた選手で、多くのファンを保有する「韓国女子ツアーの宝物」とも呼ばれる。

ユン・イナ
(写真提供=KLPGA)ユン・イナ

2年前に犯した「誤球プレー」

実力とスター性を兼ね備えたゴルファーであることは間違いない。しかし、そんなユン・イナの勢いある躍進ぶりには、絶えず雑音がつきまとっている。

核心は「情緒的欠乏」だ。プロアスリートだからこその行動とも言えるが、現在の彼女は「今のユン・イナ」を作り出すまでに苦労を惜しまなかった人々に背を向けているような印象を与える。ユン・イナの歩みをめぐって騒動が続くのもこのためだ。

始まりは「誤球プレー」だ。

ユン・イナは2022年6月に行われた「DBグループ・第36回韓国女子オープン・ゴルフ選手権大会」で、第1ラウンド途中から自分の球ではないまったく別の球でプレーを続けた。

しかも、自身が誤球をした事実を知っていながら直ちに申告せず、大会終了後1カ月が経過した同年7月になり、ようやく「韓国女子オープン」を主催した韓国ゴルフ協会(KGA)に「誤球プレー」を申告したことで多くの批判を受けた。なかには「わざと隠そうとしたのでは」という冷たい反応もあった。

ユン・イナ
(写真提供=KLPGA)ユン・イナ

こうして、KGAからKGA主催大会への3年間の出場停止処分、韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)からKLPGA主管・主催の全大会への3年間の出場停止処分という重懲戒を受けたユン・イナ。

処分によって2023年シーズンは一度も公式戦に出場できなかったが、マネジメント会社やファンの積極的な請願によって今年1月に処分が「1年6カ月」に減免されたことで、2024年シーズンからの大会出場が可能に。そして今年4月、韓国女子ツアーのフィールドに戻った。

そんなユン・イナが最近、米国女子ツアーへの挑戦を宣言した。すでにQシリーズ(予選会)への参加申請をしたことが確認されたという。

韓国女子ツアーの興行を期待し、ユン・イナの処分減免や復帰に注力した人々にとっては「青天の霹靂」のような話だ。突然のアメリカ行きをめぐって鋭い非難が出る理由もここにある。

ユン・イナ
(写真提供=KLPGA)ユン・イナ

10月6日に閉幕した今季の韓国女子ツアー最後のメジャー大会「第24回ハイトジンロチャンピオンシップ」で報道陣の取材に応じたユン・イナは、米国女子ツアーQシリーズへの参加を申し込んだのかという質問に「申し込んだ」と答えた。

米国女子ツアーは世界ランキングに応じて、Qシリーズの予選免除などの特典を与えている。75位以内であれば予選を経ずQシリーズに直行でき、76位以下は順位に応じて1次予選、2次予選を戦わなくてはならない。つまり、Qシリーズ出場締め切りの10月8日までに世界ランキング75位以内に入る必要があった。

そして、ユン・イナの最新の世界ランキング32位だ。4月の復帰当時は422位だったのが、わずか半年で390ランクも引き上げ、Qシリーズ直行のチケットを手にした。

競争力のあるプロであれば、より大きな舞台に一日も早く進出し、「韓国女子ゴルフの地位向上」に一助しなければならないという主張もある。

しかし、出場停止処分から復帰して半年でアメリカに進出する行為は「道義に合わない」という見方も多い。なかには「少なくとも、減免を受けた1年6カ月は韓国女子ツアーでプレーすべきだ」という意見もある。

ユン・イナ
(写真提供=KLPGA)ユン・イナ

何より、今年は処分減免のために積極的に乗り出したマネジメント会社、さらには復帰を待ってくれたスポンサー社などとの契約期間が終わる年だ。

ユン・イナはマネジメント会社を変更する方針を固めたことが確認された。韓国ゴルフ界はいわゆるタンパリング規定がないため、手続き上に大きな問題があるわけではない。だとしても、本来であればまだ自粛中だったはずの選手を救済するために奔走した多くの関係者の努力を考えれば、良い姿とは言えない。

問題は、ユン・イナが実力と人気によってあらゆるイシューを覆い隠すほどの選手だという点だ。つまり、今後の先例になり得るという意味とも言える。

だからこそ、韓国女子ツアーの「アイコン」と呼ばれる前に一部から「裏切り」と呼ばれてしまうのは非常に残念なことだ。

ユン・イナは復帰直後、「一生謝罪し、成績よりも韓国ゴルフの発展に役立つ選手になる」と涙を流していた。そんな彼女が来季はアメリカに舞台を移すのか、今後の動向を注目したい。

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