パリ五輪で過去最高成績を収めた韓国射撃にまさかの事態が発生した。韓国射撃連盟の会長が、自身が院長を務める病院の“賃金未払い”によって就任わずか1カ月で辞任するというのだ。
韓国射撃連盟の関係者は8月6日、本紙『スポーツソウル』に「シン・ミョンジュ会長が辞任するというニュースを聞いた。ひとまず、実務副会長や事務処長などがパリにいる。7日に帰ってくる。帰国後、正確に確認する予定だ。その後、手続きを踏まなければならない」と説明した。
続けて、「五輪で最高の成績を出したにもかかわらず、このような状況が発生して当惑している」とし、「(シン・ミョンジュ会長が)運営する病院で賃金未払いがあるとのことだ。(病院の問題は)連盟でどうにかできる部分ではない。病院運営に関する件は別問題だ。それは会長が解決しなければならないと思う」と付け加えた。
歓喜に沸く韓国射撃界に水を差す騒動だ。韓国射撃は今回のパリ五輪で金メダル3個、銀メダル3個を獲得する快挙を成し遂げた。
なかでも、女子10mエアピストル金メダルのオ・イェジン(19)は五輪新記録を樹立し、同種目銀メダルのキム・イェジ(31)もその射撃姿で一躍スターとなり、パン・ヒョジン(16)は女子10mエアライフルで五輪射撃女子の最年少女子メダリストに輝いた。他競技と比較して“マイナースポーツ”とされる射撃が、いつになく多くの注目を浴びている。
ところが、そんな最中に会長が“再び”辞任しようとしている。
韓国射撃連盟では、生命保険業、証券業、ケミカル業などで知られる韓国財閥ハンファグループが2002年から継続的に会長社を務めてきたが、昨年11月に辞任した。以降、約6カ月以上も会長社が不在のまま、パリ五輪の準備を進めてきた。
そして、後任としてシン・ミョンジュ会長が就任した。同氏は京畿道(キョンギド)龍仁(ヨンイン)市で総合病院のミョンジュ病院を運営しており、自身が院長を務めている。
過去には韓国ホッケー協会の副会長なども歴任したシン・ミョンジュ会長は、今年6月に韓国射撃連盟の新会長候補として単独出馬し、当選した。去る7月2日、公式に就任式を開き、本格的な業務に突入した。
当時、シン・ミョンジュ会長は「無限の責任感を感じる。韓国射撃を一段階発展させることが私の使命だと思う」と話した。その後は鎮川(チンチョン)選手村を訪問して代表選手を激励し、今月1日からはパリ現地にも渡っていた。
そんななか、シン・ミョンジュ会長が運営するミョンジュ病院で問題が発生した。最近、韓国政府の雇用労働部に、ミョンジュ病院で賃金未払いが発生したという関連の申告が100件以上受け付けられたことがわかった。
雇用労働部側は「現在、陳情が継続的に入ってきている。監督官を派遣して調査中だ」と明らかにした。
これに対し、シン・ミョンジュ会長は韓国射撃連盟側に「病院運営により韓国射撃に負担を与えることができないため、会長職を継続することが難しい」と辞任の意思を伝えた。就任からたった1カ月の出来事だ。
パリ五輪で躍進を見せた韓国射撃だが、喜ぶ暇もなく、今度は“連盟会長不在”という困難を経験することになりそうだ。
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