懸念されたことが起きてしまった。紆余曲折の末にトライアスロンを強行開催した挙句、選手は異常症状に悩まされた。
【注目】セーヌ川の水質改善、“韓国”を参考にすべきだったワケ
トライアスロンは五輪で最も激しく体を動かす種目だ。にもかかわらず、環境面が万全でないのであれば、選手の苦痛は避けられない。
パリ五輪組織委員会は7月31日(現地時間)、トライアスロンを正常開催することを発表した。スイムが行われるセーヌ川は水質汚染が懸念されていたが、検査で基準値を満たしたとし、競技実施を進めたのだ。
五輪のトライアスロンは、スイム1.5km、バイク40km、ラン10キkmの順にコースを回る。世界最高の鉄人を決める種目であり、すべての選手が疲労困憊した状態でレースを終える。
そのため、セーヌ川の状態がさらに注目された。汚染問題によって、100年間遊泳が禁止された場所で五輪の競技を実施すること自体が簡単に理解できなかった。
何より、前日まで“実施不可能”と判定が下された場所で急に協議を行っただけに、多くの人が試合後の選手の状態を憂慮した。
その結果は、人々が憂慮した通りだった。トライアスロン終了直後、多くの人が苦しむ様子を見せた。
なかでも、カナダのタイラー・ミスローチャック(29)はゴール後に何度も嘔吐した。この様子が、中継カメラと写真を通じてありのまま伝えられた。
選手は競技を強行開催した組織委員会に苦言を呈した。
試合に出場したアメリカのセス・ライダー(27)は、「パリに来た後、わざと手を洗わなかった。大腸菌に慣れるため、トイレに行ってきた後も手を洗わなかった」と鋭い冗談を伝えた。
スペインのミリアム・カシージャス(32)は、「主催側がセーヌ川のイメージだけを考えたという感じを拭えない。選手に対する配慮はなかった」とし、「出場選手の健康を考えたのであれば、プランBで開催するのが正しかった」と声を高めた。
プランBとは、トライアスロンからスイムを除外し、バイクとランの2種目のみで行う“デュアスロン”だ。
組織委員会は、セーヌ川の水質が基準値を満たすことができなければ、3日にデュアスロンで競技を開催することを明らかにしていた。ただ、結局は水質が基準値を満たしたとし、トライアスロンで競技を進めた。
トライアスロンが終了したものの、問題はまだ残されている。マラソンスイミングが特にそうだ。
来る8月8日、セーヌ川で行われるマラソンスイミングは、トライアスロンのスイムよりはるかに長い“10km”で競技が行われる。
水質が劇的に改善されない限りは、場所を移すのが正しい決定だと言えるだろう。なお組織委員会は、セーヌ川の水質に応じてマラソンスイミングをカヌーの会場で実施する可能性も示唆している。
ちなみに、今回のパリ五輪で韓国からトライアスロン、マラソンスイミングの両競技に出場する選手はいない。
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