パリ五輪開幕まで1カ月を切り、テレビや雑誌ではオリンピックの舞台に立つさまざま種目の日本代表選手たちのことが紹介されたり報じられ、五輪ムードが日増しに高まっているが、お隣・韓国では今ひとつ盛り上がらない。
7月9日にはパリ五輪に出場する韓国代表選手団の結団式が行われたが、あまり大きな話題にはならなかった。
結団式には大韓体育会のイ・ギフン会長やチョン・ガンソン選手団長はもちろん、ハン・ドクス首相やユ・インチョン文化体育観光部(日本の文部科学省に相当)長官など政府関係者も応援に駆けつけるなどしたが、今一つ盛り上がりに欠く印象だった。
ただ、それも無理はない。32競技329種目が行われる今回のパリ五輪に、韓国は22競技、144人の選手しか出場しない。
海外開催の五輪では史上最多となる410の選手数が見込まれる日本の半分にも満たないのだ。
なぜ、これほど差がついてしまっているのか。
そもそも韓国は、前回の2021年東京五輪では29競技で計354人(選手232人、役員122人)が派遣され、総合16位(金メダル6枚、銀メダル4枚、銅メダル10枚)を記録した。
これと比べると、パリ五輪では派遣規模が大きく縮小される形となったわけだが、規模縮小は団体球技種目の不振が大きい。
パリ五輪では野球が除外されているが、韓国は男女サッカー、男女バスケ、男女バレー、男子ハンドボールで本大会出場に失敗した。団体球技で唯一、パリ行きの飛行機に乗れるのは女子ハンドボール韓国代表だけなのだ。
それだけに韓国は目標設定も控えめだ。パリ五輪で「金メダル5個」「総合15位以以内」を目標に掲げている。
前回の東京五輪は「金メダル10個」「総合10位以内」だったことを踏まえると、今回は選手団の規模縮小もあり、目標の数字も低く設定された印象だ。
ちなみに、東京五輪の結果は「金メダル6個」「総合16位」だった。
ただ、イ・ギフン会長は「目標は金メダル5個と総合15位以内だが、さまざまな分析と最終練習を通じて、それ以上の結果をもたらすのではないかと期待している」という。
ちなみに、さらに遡ること6月26日に行われたメディアデーには、アーチェリー男子のキム・ジェドク、バドミントン男子のソ・スンジェ、体操男子のキム・ハンソル、柔道女子のキム・ハユン、競泳男子のファン・ソンウ、テコンドー男子のパク・テジュン、卓球男子のイム・ジョンフンなども出席した。
東京五輪で金メダル3枚(男子個人、男子団体、混合団体)を獲得したキム・ジェドクは当時、「20代として立つ栄光の舞台だ。最大の目標は男子団体で金メダルを取ること。自信のある姿をお見せしたい」と力強く語っていた。
昨年の杭州アジア大会で金メダル2枚(男子4×200mリレー、男子200m自由形)を手にしたファン・ソンウも、自身2度目の五輪に向けて「東京では最年少だったが、今は経験を多く積み重ねた。これまで培った経験を試合でお見せしたい。無観客だった3年前と異なり、多くの観客が会場を埋め尽くすものとみられる。シナジー効果を多く得られると思うので、ポジティブに捉えている。残りの30日間でしっかり準備したい」と意気込みを伝えていた。
メダルの期待が集まる有望株が「4年に一度の夢舞台」に向けて高々と抱負を語るのは、日本も韓国も変わらないようだ。
なお、パリ五輪の韓国選手団は11日に第1陣、20日に第2陣がパリに向かう予定になっている。
(文=慎 武宏)
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