先発登板を確信することはできないが、条件は悪くない。
オープン戦で技量を証明すれば、左腕が不足しているチーム事情と相まって、先発投手としてメジャーリーグ最初のシーズンを迎えられる可能性もある。
セントルイス・カージナルスに入団したキム・グァンヒョン(31)が2020年シーズン、興味深い対決を繰り広げる見通しだ。
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キム・グァンヒョンは12月18日(日本時間)、カージナルスと2年800万ドルの契約を結んだ。オプション満せば契約規模が1100万ドルに上り、マイナーリーグ拒否権も手に入れたことがわかった。
カージナルスのジョン・モゼリアク野球部門社長は、地元メディア『セントルイス・ポスト・ディスパッチ』とのインタビューで「私たちはこれまで着実にキム・グァンヒョンのスカウティングレポートを作成してきた」とし、「キム・グァンヒョンを獲得するにあたり、大きな助けになった。キム・グァンヒョンはKBOリーグで成功したキャリアを送り、それがいい参考資料になった」と、キム・グァンヒョン加入の過程を説明した。
カージナルスは、キム・グァンヒョンを先発と救援の役割を担う“スウィングマン”と見ている。
そのため来年2月末から開催されるオープン戦が重要だ。キム・グァンヒョンは入団記者会見で「先発投手になることが最高のシナリオだが、チームに必要な選手になることが先だ。先発でも救援でも、チームが決めた役割で最善を尽くすことが目標」と述べた。
あえて先発と救援を区別しないと語ったが、最高のシナリオを実現するためには、オープン戦から価値を証明しなければならない。
ところが興味深いことに、カージナルスは2019年シーズン、左投手の先発回数が2回にとどまった。これはカージナルスがキム・グァンヒョンの獲得を推進した決定的な理由でもある。新人左腕ヘネシス・カブレラが2回先発登板したが、着実にローテーションを消化した先発投手はすべて右腕だった。
今季の先発陣5人のうち、マイケル・ワカがニューヨーク・メッツとFA契約を結んで移籍した。ジャック・フラハーティ、マイルズ・マイコラス、ダコタ・ハドソンの3人は固定される確率が高い。抑えを務めたカルロス・マルティネスと、ベテランであるアダム・ウェインライトの2020年シーズンの立場は未定だが、オープン戦期間にキム・グァンヒョンが先発登板のチャンスを得ることは明らかだ。
オープン戦で先発陣への合流を確定させ、着実に任務を果たすことができれば、胸の躍るマッチアップも待っている。
同地区に属するシカゴ・カブス、ミルウォーキー・ブルワーズとは、それぞれのレギュラーシーズンに19回対戦する。そうなればカブスのダルビッシュ有、ブルワーズへと移籍した2019年KBOリーグのMVPジョシュ・リンドブロムとの対決が実現するかもしれない。
また同リーグに所属するアリゾナ・ダイヤモンドバックスとも6回対戦するが、条件が重なれば、2018年シーズンまでSKワイバーンズで同僚として過ごしたメリル・ケリーと顔を合わせることもできる。
ダルビッシュ有との“日韓戦”はもちろん、リンドブロムやケリーなどKBOリーグ出身者によるメジャー対決は、大きな注目を集めることになるだろう。
キム・グァンヒョンは長らくメジャーリーグを夢見てきた。5年前、メジャー進出にチャレンジしたが、サンディエゴ・パドレスと条件が合わず、一度あきらめるしかなかった。以降、さらに強く、安定感のある投手へと進化した。そして今回、最終的にカージナルスのユニホームを着て新たな出発点に立った。
夢を実現したキム・グァンヒョンが春季キャンプやオープン戦を順調に消化し、先発陣に加われば、2020年シーズンには野球ファンを楽しませるビッグマッチがいくつも繰り広げられることだろう。
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