女子ゴルフ世界1位コ・ジンヨンが語る、“強さの秘訣”【独占インタビュー】

2019年09月15日 ゴルフ #米国女子ツアー

「練習せずに過ごした秋夕なんて、指で数えられるほどでした」

女子ゴルフ世界ランキング1位のコ・ジンヨン(24)は、秋夕(チュソク、旧暦8月15日)の思い出をこう語る。

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世界最高の選手たちがそうであるように、彼女も幼い頃から毎日練習に没頭し、秋夕の日もゴルフクラブを握っていた。秋夕が“特別な日”であるという感覚もないまま、今は世界ランクのトップをひた走っている。

コ・ジンヨンは本紙『スポーツソウル』との独占インタビューで、「子供の頃、秋夕の日に家族でソンピョン(松葉餅)を作った記憶があります。秋夕で家族が集まるとなれば、その日ぐらい練習も休みになると思っていましたが、当日はいつもよりも早い時間に父に練習場へと連れていかれ、練習が終わってからやっと遊ぶことができました」と語った。

1人娘だったコ・ジンヨンにとって、親戚と過ごす秋夕は練習で疲れた心身を癒す場でもあった。当時から明るい性格だったこともあり、幼いいとこたちにも懐かれた。「昔から力はあったので、幼いいとこの代わりに重い食べ物を運んだりしていました」と、彼女は振り返えった。

コ・ジンヨンが秋夕をゆっくり過ごせるようになったのは、プロになった後だ。秋夕が国内大会と重なった昨年は、飼い犬の「デバク」を連れて家族のもとへ会いにいった。今年も秋夕を韓国内で過ごすという彼女は、家族との秋夕を楽しんだ後、10月のKEBハナ金融チャンピオンシップ出場を控え、スイングの矯正やウエイトトレーニングなどに集中する。

世界ランキング1位のコ・ジンヨン

9月9日に発表された女子ゴルフ世界ランキングで、コ・ジンヨンは7週連続で1位の座を守った。全盛期のアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)を彷彿させるとの話題が出るほど、世界のゴルフ界は“コ・ジンヨン時代”に突入している。

メジャー2勝を含む今季4勝を記録しているコ・ジンヨンは、最多勝、賞金ランキング、平均ストロークなどでも1位を走っている。

“コ・ジンヨン時代”を証明をするのは、数字だけではない。今シーズンから目に見えて改善された勝負所のパット、寸分狂わず放たれるアイアンショット、強靭な鋼のメンタルは、彼女が全盛期であることを象徴するたしかな武器である。

優れた基本技と強い精神力を持ったコ・ジンヨンを見て、専門家はカリー・ウェブ(オーストラリア)やソレンスタムなど、往年の名ゴルファーを連想させると口をそろえた。しかし、コ・ジンヨンは「その都度の大会を後悔なくプレーしたら、良い結果も自然についてくるみたいです。ですが、まだ不十分な点も多いので、努力あるのみ」と謙虚さを見せる。

コ・ジンヨンをよく知る人は、誰よりも負けず嫌いでありながら、実績にとらわれない“謙虚な姿勢”こそが、彼女が活躍できる理由と話す。一つひとつのプレーに対する集中力のみならず、メンタルもさらに強固となったというのである。

シーズン序盤、ANAインスピレーションでメジャー初優勝を達成したときも、彼女は 「タイトルはそこまで重要でない」と発言していた。コ・ジンヨンは「周りを意識せず、いつも自分がやるべきことだけに集中しています」と述べた。

またコ・ジンヨンは、誰よりもウエイトトレーニングに時間を費やすことで有名だ。「ゴルファーに必要なウエイトトレーニングとは」という質問に対し、「毎晩ストレッチを欠かさないことです。筋肉というのはトレーニングを1日、2日しなかっただけで簡単に衰えてしまいます。シーズン中もオフシーズンほどの練習量を維持することは難しいですが、下半身だけでも着実にトレーニングしています」とした。

「真っすぐ正確に打つ基本技のヒント」についても、「スイングパスが正しくできれば大きく逸れることはありません。軸がぶれると左右に動いてしまうので、その分誤差も大きくなってしまいます」とアドバイスした。

継続して結果が出ていることもあり、コ・ジンヨンはゴルフのまた新たな魅力を感じている。「どのシーズンに比べても、今シーズンは多様なショットを駆使する方法を知りました。理解しながら打つことで試合中にもさまざまなショットができるようになったので、そこに楽しさを感じています」と強調した。

(写真提供=KLPGA)コ・ジンヨンを見ようと集まった韓国ギャラリーたち

韓国女子ゴルフ界は“人材の宝庫”といわれるほど、才能を持った逸材が毎年国内や米国女子ツアーに登場する。その度、彼女たちの過酷な練習量、すなわちスパルタ式トレーニングに注目が集まっている。

しかし、そんなスパルタ式トレーニングも現代ではもう通用しない。アメリカで複数のシステムを経験したコ・ジンヨンは、「この時代、練習をとにかく多く積めば上手くなるというのは通用しないと思います。しかし、練習した分だけ成果として戻ってくるとも考えています。練習量が足りなければ自信を持てないし、パフォーマンスは落ちるのみです。やたらと練習をするのではなく、効率化を図ることが重要なのです」とし、科学に基づいたトレーニングによってパフォーマンスを上げなければならないと言及した。

コ・ジンヨンは世界ランキング1位を維持するために、己とも戦っている。今シーズン、米国女子ツアーの残りの大会で2勝以上を挙げれば、2013年にパク・インビが樹立した歴代韓国人シーズン最多勝である6勝に並ぶ。

コ・ジンヨンは「今年の選手」の有力候補に挙がる。もし彼女が受賞すれば、1979年のナンシー・ロペス、1980年のベス・ダニエル(以上アメリカ)、1995年のソレンスタム、2015年のリディア・コ(ニュージーランド)に続き、ツアー新人賞を受賞した翌年に「今年の選手」に輝く歴代5人目の選手となる。

来年には、彼女が熱望する大会である2020年東京夏季オリンピックが開かれる。この好調を維持したまま、オリンピックの表彰台に立ちたい思いは誰よりも強い。

コ・ジンヨンは「オリンピックに向けた特別なトレーニングはまだしていません。ただ、毎試合を後悔なく臨もうという気持ちを維持していきたいです。期待を裏切らない結果を残します。ぜひ、応援してください」と、固い決心とともに意気込みを語った。

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