強引な選手起用はやはり効果が見られなかった。
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パウロ・ベント監督率いる韓国代表は3月25日、日産スタジアムで行われた日本代表との国際親善試合で0-3の完敗を喫した。10年前の“札幌惨事”を再現させるかのような敗戦で、プライドに大きく傷をつけた。
韓国は序盤から試合を厳しく始めた。特に左サイドバックのホン・チョル(30、蔚山現代)がいた左サイドで不安定さを露呈した。
前半17分、DFキム・ヨングォン(31、ガンバ大阪)とホン・チョルがペナルティエリア内に侵入したDF山根視来(27、川崎フロンターレ)を防げず、強烈な先制弾を許した。山根のシュートはGKチョ・ヒョヌ(29、蔚山現代)の頭上を越え、クロスバーに当たってゴールに吸い込まれた。
同27分の失点も韓国の左サイドから崩された。韓国の攻撃時、ホン・チョルはMFイ・ガンイン(20、バレンシア)との連携が上手く行かず、簡単にボールをロスト。高めの位置を取っていたホン・チョルは戻れず、そのまま日本のカウンターを許すと、最後はMF鎌田大地(24、フランクフルト)の右足シュートがゴール左隅に突き刺さった。
ホン・チョルはこの日90分フル出場したが、試合を通して身体が重そうな様子だった。前半序盤にはイ・ガンインの鋭いパスで裏抜けを試みたが、いつものようなスピードを見せず、簡単に相手に処理されてしまった。
守備の状況でも苦労した。左サイドを崩されたことで韓国の守備全体のバランスも崩れた。本来ならばサイドバックも攻撃に参加しなければならないにもかかわらず、ホン・チョルがいた韓国の左サイドではほとんど攻撃が行われなかった。
もっとも、最初の時点でホン・チョルを招集したことに無理があった。
ホン・チョルは現在、負傷の影響で正常なコンディションではない。第6節まで終えた今シーズンのKリーグ1(1部)でも、未だ2試合にしか出場していない状態だ。特に、国際Aマッチ期間直前のリーグ戦2試合はベンチにすら入っていなかった。
蔚山現代を率いるホン・ミョンボ監督も、「負傷中のホン・チョルを招集したことが残念だ。選手を抜てきする際の(クラブと代表側の)コミュニケーションが必要だった。ホン・チョルは現在、試合に出場できる状態ではない」と明確に語っていた。
ホン監督は前々からコーチングスタッフを通じてホン・チョルの状態を伝えていたというが、ベント監督は強行してホン・チョルを日本に連れて来た。そして先発出場までさせて、敗北を喫した。
代案としてDFパク・チュホ(34、水原FC)の起用も考えられたが、パク・チュホは所属チームで守備的MFとして主に出場している。本職だった左サイドバックとしての機能は全盛期から衰えている状態だ。
ホン・チョル、パク・チュホのいずれも、Kリーグで優れたパフォーマンスを見せていないにもかかわらず、今回の“日韓戦”に呼ばれる形となった。
現在のKリーグには、昨シーズンのアシスト王であるDFカン・サンウ(27、浦項スティーラース)や元清水エスパルスのDFイ・キジェ(29、水原三星ブルーウィングス)など、代表に選ばれてもおかしくないレベルの左サイドバックの選手が何人もいる。
しかし、ベント監督は彼らに背を向けたままのどころか、負傷中の選手や正常なコンディションではない選手を招集するという、理解のできない選択をした。
最初から敗北への近道を示したのも同然だ。
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