猛烈な勢いで獲物に飛びつく“鷲軍団”へと変貌した韓国プロ野球のハンファ・イーグルスが、今シーズンの台風の目となりそうだ。
昨年のハンファの得点圏打率は2割4分5厘で、10球団の中で最下位だった。韓国プロ野球リーグのチーム平均得点圏打率2割8分4厘にはるかに及ばない数字だ。この部門で1位のNCダイノスの打率3割2分8厘と比べればよりみすぼらしさが強調される。
数字が示す通り、点数が取れないから勝てる訳がない。打者もボールに当てることに必死となり、相手投手を攻略するどころではなかった。シーズンを通しての三振数は1163にも上り、“便秘打線”と揶揄されたこともあったとか。結局、ハンファは46勝95敗3分けという情けない成績に終わり、最下位で昨シーズンを終えた。
しかし、今季から就任したカルロス・スベロ監督の影響で、ハンファは見違えるほどに生まれ変わった。ひとたびチャンスが巡ってくれば確実に点を稼ぎ、3月24日現在までに行われたオープン戦3試合は全て勝利を収めている。
スベロ監督は1番から4番までの上位打線を20代の若手で固定しており、その大胆な策が見事な好結果を生み出したのだ。
オープン戦の内容を見ると、昨年までのハンファとは大違いだ。3月22日の斗山(トゥサン)ベアーズ戦では、相手先発のアリエル・ミランダが初回から制球の乱れで苦戦するなか、チョン・ウンウォン、ノ・シファン、ハ・ジュソクらが立て続けに四球で出塁し、満塁のチャンスを作った。
続いて打席に立った4番リオン・ヒーリーは、ミランダの失投を見逃さなかった。痛烈な打球は右翼手の横を抜け、走者2人を生還させた。ハンファ打線は、引き続き落ち着いてボールを選び、一挙7点を挙げる爆発力を見せた。この試合、序盤に主導権を100%握ったハンファは12-5の大勝を収めている。
23日の試合では、斗山ベアーズのチェ・ウォンジュンの好投に手も足も出ないかに見えたハンファ。しかし、試合途中からリリーフ登板したチャン・ウォンジュンから、パク・ジョンヒョン、ハ・ジュソクがまたしても連続して四球で出塁し、4番ヒーリーが仕上げの本塁打を放った。
これだけで満足しなかったハンファは、さらに1点を追加して2試合連続の勝利を収めた。
オープン戦とはいえ幸先の良いスタートを切ったハンファ・イーグルス。オープン戦3試合で平均9点を記録した強力打線が、チームの雰囲気も明るくしているそうだ。
見事な手腕を発揮しているスベロ監督も、「選手たちが雰囲気を良くしてくれている。励みになる」と話し、笑顔を見せた。
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