2020年と2021年、韓国プロ野球における違いの1つは外国人左腕の人数だ。
昨シーズンの外国人左腕投手は、キウム・ヒーローズのエリック・ヨキッシュ、ハンファ・イーグルスのチャド・ベルの2人のみだったが、今年は2倍の4人となった。
【関連】阪神ロハスには無かった悩み、元中日アルモンテが新天地でDH起用されないワケ
今オフに韓国へと渡った外国人助っ人投手は、LGツインズのアンドリュー・スアレス、ハンファ・イーグルスのライアン・カーペンター、斗山(トゥサン)ベアーズのアリエル・ミランダの3人だ。
2021年の韓国プロ野球に在籍する外国人投手20人のうち、左投手は4人だ。前述したチャド・ベルは2020年にウェーバー公示でハンファ・イーグルスから退団している。
4人の左腕はみな順調なプレシーズンを送っている。韓国で3シーズン目を迎えるヨキッシュはもちろん、大きな期待を受けて韓国の地を踏んだスアレスも実戦で大活躍中だ。
昨年、防御率部門で1位(2.14)を記録したヨキッシュは3月16日、オープン戦前最後の実戦となるLGツインズ戦で3回無失点の好投を見せた。主力武器であるツーシームも最速144kmまで引き上げており、昨年同様強さと巧さを兼ね備えたピッチングでチームを引っ張ると予想されている。
スアレスは既に最速151kmを記録しており、コンディションは上々のようだ。3月10日のKTウィズ戦と17日の斗山ベアーズ戦の2試合では、多様な球種とノビのあるストレートで申し分のないピッチングを続け、6イニング連続無失点の好投を見せた。23日にはKTウィズとのオープン戦を行う計画だ。
LGツインズのリュ・ジヒョンは、「技量的な部分でスアレスはやはり期待した通りだ。そして人間性も非常に良いようだ」とし、「監督としては、時に外国人選手の管理が難しくなることもある。チームを運用する上で目立つ選手が出てくると、その選手のことに頭を悩ませることになる。しかし、スアレスにはそんなことで悩む必要がなく、本当にありがたい」と微笑んだ。
また、昨年見せた台湾プロ野球での活躍が認められ、韓国入りしたライアン・カーペンターとアリエル・ミランダも合格点を受けている。
カーペンターは21日、大田(テジョン)で行われたLGツインズとのオープン戦で、3.2イニングを1被安打、2与四球、8奪三振、無失点と活躍。最速147kmを記録したファストボール以外にも、スライダー、カーブ、チェンジアップの4種を投げ込んだ。内角へのスライダーで右打者を切って取り、左右打者どちらへの対応も問題ないことを証明して見せている。
カーペンターは試合後、「自分が持っている4つの球種を、広く投げるのが自分の長所だと思う。この日の試合ではカーブよりもスライダーの調子が良かったので、スライダーを多く使った」とし、「個人的に打者に四球を与えたくない。むしろ真っ向勝負をして打たれた方がマシだ」とし、自身の男気あふれるフィロソフィーも明らかにした。
かつてソフトバンクホークスに在籍していたミランダも、斗山ベアーズの新エースに位置づけられる見通しだ。14日に行われた韓国デビュー戦でミランダは、初回から150kmの速球を披露している。
斗山ベアーズのキム・テヒョン監督も、「ミランダは左投手だし、ボールにも力がある。投げる姿だけを見ても、力を感じさせてくれるし、変化球もいい」とし、「初の実戦から相手打者を圧倒できる球威を見せてくれた。 今年もよく投げてくれそうだ」と期待を示している。
現在の韓国プロ野球界は左打者の全盛時代と言っても過言ではない。SSGランダースのチュ・シンス、NCダイノスのナ・ソンボム、斗山ベアーズのホセ・フェルナンデス、KIAタイガースのチェ・ヒョンウ)、LGツインズのキム・ヒョンス、KTウィズのカン・ベクホ、キウム・ヒーローズのイ・ジョンフ、サムスン・ライオンズのオ・ジェイルなど、各チームの打線の中心には、もれなく左の強打者が配置されている。
この傾向を見て各球団は昨冬、外国人選手市場で左投手に目を向けたため、外国人左腕が2倍に増えた格好だ。
右投手一色だった韓国プロ野球の勢力図に、ヨキッシュ、スアレス、カーペンター、ミランダらがどのような変化をもたらすのか、その結果は2021シーズン終了後に明らかになるだろう。
前へ
次へ