韓国サッカーは「59年ぶりとなるアジアカップ制覇のチャンスをつかんだ」と、経験豊富な選手の引退まで先送りにし、アジアカップ2019に臨んだ。しかし結果はベスト8脱落という、散々たるものだった。
パウロ・ベント監督は就任してまだ5カ月だという主張は、言い訳にもならない。今回のアジアカップのために、どの出場国よりも全力投球したのが韓国であることは事実だ。
韓国代表の敗退原因をベント監督に限定してみると、①独善的な戦術と選手起用②準備不足③アジアサッカーに対する理解のなさなどに整理することができる。
1月14日のマンチェスター・ユナイテッド戦をフルタイムで消化した直後、一晩中飛行機に乗って合流したソン・フンミンを1月16日の中国戦に先発投入し、88分間もプレーさせた“こだわり”は、最終的に決勝トーナメントを勝ち進むための大きな足かせとなったとの指摘が多い。
また「後方ビルドアップ」というテーマは明確だったが、ディテール(細部戦術)が不足していた点は、準備不足と見ることができる。対戦相手が韓国を警戒しているからこそセットピースやパターンプレイをうまく活用すべきだったが、ポゼッションだけ高めて、あとの攻撃は選手たちに放任するというシーンが随所で見られた。
『スポーツソウル』は昨年12月24日付けの2面で、「キム・シンウク-ソク・ヒョンジュンが2人ともいない…密集守備の打破サッカーが消える」というタイトル記事を掲載し、アジアカップ最終エントリーを分析しながら、長身ストライカーがいないベント監督の判断に疑問符をつけたことがある。
カタールとの準々決勝終盤、DFキム・ミンジェをストライカーとして前線に送った場面に、アジアサッカーに対する理解のなさが表れていた。決勝トーナメント進出後に、選手たちのコンディションがさらに悪化したことも、ベント監督が今大会を通じて肝に銘じるべき教訓といえるだろう。
ベント監督は1月28日の帰国インタビューで、自分のサッカーを修正するよりも、より一層強化して正面突破するという意志を示した。
韓国サッカー協会は、彼とコーチングスタッフを含めて年間50億ウォン(推定、約5億円)を使う果敢な賭けをしただけに、ベント監督の“マイウェイ”を支持して助けていく必要があるだろう。
ベント監督は、キ・ソンヨンとク・ジャチョルという2枚看板の代表引退を事実上受け入れながらも、歯をくいしばって前進する覚悟を表わした。ポルトガル代表を率いて2012年UEFA欧州選手権ベスト4を達成して以降、ベント監督のノートに「成功」という文字が一度もないという点は、彼の挑戦の意志を燃やす原動力になるとも考えられる。
しかし、彼のリーダーシップと用兵術をただ黙って見守るには、アジアカップの失敗は韓国サッカーに大きすぎたことも事実だ。