なぜトッテナムはソン・フンミンを“酷使”するしかなかったのか…負傷離脱の代償とは

誰よりも焦れているのは、トッテナムのジョゼ・モウリーニョ監督だ。

内心不安な気持ちを抱えながらも、ソン・フンミンを連続して選抜エントリーに入れたモウリーニョ監督は、ハムストリングの負傷で彼が離脱すると困惑を隠せなかった。

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モウリーニョ監督は9月27日(日本時間)に行われたニューカッスルとのプレミアリーグ第3節(1-1)終了後、「(前半終了後に交代した)ソン・フンミンはハムストリングの負傷でしばらくチームを離れる」と述べた。

試合直後、トッテナムのファンサイトである「Spurs Website」には、「なぜこんなことに」「泣きたくなる」などなど、絶好調だったソン・フンミンの離脱を悲しむ書き込みが相次いだ。それとともにタイトなスケジュールにもかかわらず、ソン・フンミンを無理に先発起用したモウリーニョ監督の選択を指摘する声もあった。

ソン・フンミン

唯一、5試合連続先発出場の“強行軍”

実際にソン・フンミンは、チーム内の攻撃陣で唯一、今シーズン開幕以来、公式戦5試合(プレミアリーグ3試合、ヨーロッパリーグ2試合)で先発出場した選手だ。トッテナムの象徴といえるイングランド代表のFWハリー・ケインは、ニューカッスル戦を2日後に控えて行われたKFシュケンディヤとのヨーロッパリーグ3次予選ラウンドでは、先発から外れた。

一方でソン・フンミンは、その試合も先発出場し、1ゴール2アシストの活躍を見せた後、ロンドンに飛んできて、すぐにニューカッスル戦に出場した。ニューカッスル戦直後にもカップ大会やプレミアリーグのスケジュールが詰まっている状況のなか、なぜモウリーニョ監督はソン・フンミンを無理に先発で投入したのだろうか。

現在のチーム事情からソン・フンミンを最大限に活用することは、モウリーニョ監督にとって“唯一の活路”といっても過言ではない。

昨シーズン途中から指揮をとり、なんとかヨーロッパリーグ出場権(プレミアリーグ 6位)を獲得したモウリーニョ監督は、今季初のフルタイムのシーズンを担いながら、結果を出さなければならない。そのためには序盤のレースが非常に重要だ。そんななか昨シーズン後半、出入りの激しかったハリー・ケインと比較して、ソン・フンミンは最も信頼できる選手となった。今シーズンを控えても、ケインがプレシーズンのトレーニングと練習試合に参加しないなか、ソン・フンミンがチームの中心になった。ソン・フンミンはプレシーズンの4試合すべてに出場し、4ゴールを決めた。

当然、序盤レースの先鋒に立つしかなかったソン・フンミンは、9月20日のサウサンプトン戦で4ゴールを炸裂させる決定力を発揮し、5日後のKFシュケンディヤ戦でも1ゴール2アシストを記録して勢いに乗った。ケインも徐々に調子を上げているなかで、ソン・フンミンとの相乗効果で序盤レースをリードするのが最善のシナリオだった。だからこそソン・フンミンを先発から外すわけにはいかなかった。

ケインの代わりがいないトッテナム

また別の理由としては、ケインのバックアップの不在を挙げることができる。

競争相手の他クラブが頼れるストライカーを2人以上保有しているのとは異なり、トッテナムは新シーズンを控えてケインの代替者の獲得に失敗した。過去にはフェルナンド・ジョレンテ、フィンチェント・ヤンセンなどのバックアップ要員がいたが、現在は実質的な代わりがいない状況だ。

ケインの役割を担える適任者は、ソン・フンミンだけだ。昨シーズンもソン・フンミンはケインが負傷で抜けた際、ウインガーからトップにポジションを変え、5試合連続ゴールを決めるなど代替者としての役割を完璧にやり遂げた。

9月25日のKFシュケンディヤ戦でもケインに代わって、ソン・フンミンがトップとして出場したし、後半からケインが投入されるとサイドに移動した。

ケインを休ませるためにはソン・フンミンを起用するしかなく、結果的にソン・フンミンを先発から外すことができなかったわけだ。

いずれにしてもソン・フンミンの負傷離脱は、ケインとモウリーニョ監督にとって大きな悩みの種となった。

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