リズミカルな投球に勝負から逃げない大胆さ。メジャーリーグ(MLB)の“ルーキー”キム・グァンヒョン(32、セントルイス・カージナルス)が、先発としての実力を再び証明してみせた。
キム・グァンヒョンは8月28日(日本時間)、本拠地ブッシュ・スタジアムで行われたピッツバーグ・パイレーツとのダブルヘッダー第1戦で先発登板し、6イニングを投げ3被安打1四球1失点(自責点0)と好投した。80球を投げて3つの三振を奪い、防御率を1.08とした。
しかし、打線の沈黙や守備陣の失策などもあって援護を受けられず、キム・グァンヒョンは1-1の状況で降板。試合も結局、カージナルスが3-4で敗れてしまった。
速いテンポに攻撃的なピッチングで2試合連続クオリティ・スタート(QS/先発6イニング以上で3失点以下)は達成したが、勝ち星は得られなかった。
4回表の失策での失点が響いた。同回、先頭の2番コール・タッカーに三塁方向へのゴロを誘発するも、三塁を守っていたブラッド・ミラーが送球ミスをしてしまい、無死二塁の危機を迎える。続く打者は左翼手タイラー・オニールの好守備で打ち取ったが、4番ジョシュ・ベルを四球で塁に出してしまい、一、二塁の状況となってしまう。
ダブルプレーが切実な状況でキム・グァンヒョンは5番ブライアン・レイノルズを三振に仕留めたが、次のジェイコブ・スタリングスに適時打を放たれ、1失点を喫してしまった。堅固な守備を誇るカージナルス内野陣としては、惜しさが残るしかないだろう。
それでも、キム・グァンヒョンは「投手は野手からサポートを受けるポジションだ。特に今日は外野手のタイラー・オニールとデクスター・ファウラーが好守備をしてくれたおかげで、大きな助けをもらった。打席でホームランを打つことにも負けないサポートだった」とチームメイトに感謝を伝えた。
そして、「前回の試合よりもコマンドが落ちた。失策が起きたとき、失点してはいけないと思っていたのに、点数を与えてしまった。投球数が多くなり、我々が追われる状況になってしまった」と自責の念を表した。
キム・グァンヒョンは、ベルとの勝負で四球を念頭に置いたのはダブルプレーのための布石だったことも明かした。彼は「点数を与えずに守らなければならない状況だったので、ベルにはダブルプレーを考えて(コーナーワーク)を深くしようとしたら四球をしてしまった」と説明した。
リズミカルな投球テンポは野手との呼吸を重要視したからだった。キム・グァンヒョンは「投手が野手を助ける方法はテンポを速めることだと思う。野手が失策したとき、自責させないのも投手ができるサポート」とし、「走者が増えると野手の立つ時間も長くなる。負担になるしかない。だから早く投げたんだ」と述べた。
ダブルヘッダーが7回までの試合であることからも、先発で6回まで投げたことはチームの助けにもなったはずだ。現実を考慮しても、ブルペンの消耗を最小限にすることが必要だからだ。キム・グァンヒョンは「9イニングでも7イニングでも、先発で登板したのならば6~7回までは投げなければならないと思う。6回にもピンチは来たけど、最後のイニングだと思ってボールを投げた」と話した。
今シーズンにMLBではまだルーキーのキム・グァンヒョンだが、試合に臨む姿勢やチームを考える気持ちを見るに、早くもベテランのような風格が感じられる。
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