かつてアーリング・ハーランドや南野拓実とレッドブル・ザルツブルグで躍動した韓国代表FWファン・ヒチャンが、「プレミアリーグ最悪の選手」に名前を連ねた。
そのうえ、所属するウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(以下、ウルブズ)は今季の降格候補筆頭と見られ、最下位に沈んでいる。数字、流れ、空気感のいずれを見ても、立て直しを期待しにくい状況だ。
サッカーデータ分析企業「オプタ」と予測市場「ポリマーケット」は12月24日(日本時間)、ウルブズをプレミアリーグ20クラブの中で最も降格の可能性が高いチームに分類した。オプタは降格確率を99.71%と見込み、ポリマーケットも94%という数値を提示している。劇的な反転がなければ、残留は“奇跡に近い”という評価だ。
ウルブズは今季、リーグ17節終了時点で2分15敗の勝ち点2で最下位に沈んでいる。残留ラインとされる17位ノッティンガム・フォレスト(勝ち点18)とはすでに勝ち点16差。18位ウェストハム(勝ち点13)、19位バーンリー(勝ち点11)との差も縮まっていない。
記録面でも厳しい数字が並ぶ。プレミアリーグ史上、17節時点の最低勝ち点は2020-2021シーズンのシェフィールド・ユナイテッドが残した「2」だが、今季のウルブズも同じ数字に並んだ。当時のシェフィールドは18節で初勝利を挙げたものの、最終的に降格は免れなかった。
状況はさらに苦しい。ウルブズは現在10連敗中で、18節にリバプール、19節にマンチェスター・ユナイテッドとの連戦を控えている。日程まで踏まえると、浮上の糸口をつかむのは簡単ではない。このままでは、シーズン序盤における“未勝利”の不名誉な記録が意識される展開にもなりかねない。
指揮官交代の効果も、現時点では見えてこない。ウルブズは成績不振を理由に11月初旬にヴィトール・ペレイラ監督を解任し、ミドルズブラに300万ポンドの補償金を支払ってロブ・エドワーズ監督を招へいした。しかしエドワーズ体制では6戦全敗、2得点12失点と結果が出ず、さらなる監督交代の可能性まで取り沙汰されている。
こうした流れは、ファン・ヒチャンの立場にも直結する。英メディア「ギブ・ミー・スポーツ」はこのほど「2025-2026シーズンのプレミアリーグ最悪の選手20人」を選出し、ファン・ヒチャンは3位という不名誉な位置づけとなった。リーグ12試合で1得点にとどまり、チャンス創出やドリブルなどの面でも、攻撃手として物足りない水準だと指摘されている。
仮に降格が現実となれば、ファン・ヒチャンは韓国サッカー史上、プレミアリーグ降格を経験した7人目の選手となる。キム・ドゥヒョン、イ・チョンヨン、パク・チソン、ユン・ソギョン、キム・ボギョン、キ・ソンヨンに続き、苦い前例に名を連ねることになる。
問題はそれだけではない。ファン・ヒチャンは来年の北中米ワールドカップへ向け、韓国代表にとって重要な戦力の1人でもある。2022年カタールW杯のポルトガル戦で決勝ゴールを決めた記憶はいまも鮮明だが、クラブでの不振と降格の可能性が重なれば、代表内の序列にも影響が出かねない。2列目にはソン・フンミンをはじめ競争相手がそろう。
クラブの降格危機に個人の低迷、そしてワールドカップという時間軸が1つの点で交差している。流れを変えられなければ、今季は最悪の記憶として刻まれかねない。ワールドカップへ向けた“最後の6カ月”は、これまで以上に重い時間になりそうだ。
(記事提供=OSEN)
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