女子マラソン選手への“身体接触”が論争となったキム・ワンギ監督が、職務怠慢や職権乱用などを理由に重い懲戒処分を受けた。だが最終的に再審を請求し、正面から対応する姿勢を示している。
懲戒理由や論争の本質をめぐって解釈が分かれるなか、スポーツ界の内外で波紋が続いている。
韓国・江原道(カンウォンド)体育会は12月20日、「キム・ワンギ監督が17日、弁護士を通じて再審請求書を提出した」と発表した。これを受け、江原道体育会は規定に従い、60日以内にスポーツ公正委員会を開き、再審の可否と懲戒の妥当性を改めて判断する予定だという。
今回の事案は、11月に仁川・松島で行われた「2025仁川国際マラソン」女子国内部門から始まった。当時、イ・スミン(三陟市庁)が1位でゴールした直後、キム監督がタオルで上半身を包むように抱きかかえながら、瞬間的に強く引き寄せる様子が中継に映った。この過程で、イ・スミンが顔をしかめてキム監督を押しのけたことにより、“不適切な身体接触”論争が広がった。
直後、キム監督は「マラソンはゴール直後に失神したり倒れたりする場合が多いため、安全のために支えた」と、保護目的の行動だったと釈明。一方、イ・スミンはSNSで「今回の状況を性的な加害行為と規定したことはない」としつつも、「ゴール直後、予期しない強い身体接触によって激しい痛みを感じた」と明かした。
この両者の主張により、論争の焦点は「意図的か否か」よりも「接触の強さと適切性」へと移っていった。
その後、イ・スミンを含む5人の元・現役アスリートがスポーツ公正委員会に申立書を提出した。申立書には性的加害の疑いは含まれていなかったが、キム監督のコミュニケーションの取り方や言動、大会までの準備過程、契約に関する問題などが指摘されたと伝えられている。これを踏まえ、三陟市体育会は12月初めにスポーツ公正委員会を開き、職務怠慢、職権乱用、人権侵害、いじめを理由として、キム監督に1年6カ月の資格停止手という重い懲戒を議決した。
キム監督は懲戒後のインタビューで、「チームと市に被害を与えないために静かに退くつもりだったが、あまりにも一方的な決定だった」と、悔しさを訴えていた。「不当で納得しがたい点が多く、再審を請求することになった」と説明し、法的対応の可能性も示唆した。
一方、この懲戒により、キム監督は資格停止期間中に再契約ができない状態となったとされ、三陟市庁の陸上チームは選手4人と再契約に合意したと伝えられている。再審の結果次第で、キム監督の去就や今回の論争の行方にも少なからぬ影響が及ぶ見通しだ。
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