女性選手への身体接触をめぐる論争を機に、人権侵害調査が実施されることとなった。
韓国・江原道三陟市は、実業団スポーツチームにおける人権侵害の実態調査を全面的に実施すると発表した。同市は12月15日、「最近浮上した陸上選手に対する人権侵害事案を受け、スポーツ界における人権侵害の予防と根絶に、より一層取り組む」と明らかにした。
まず、類似事例の再発防止と組織文化の改善を目的に、三陟市の実業団競技部全体を対象とした包括的な人権・労働環境の実態調査を行う方針だ。調査は選手および指導者全員を対象とし、アンケート、面談、現場点検などを通じて、指導方法、勤務環境、人権意識、組織内の意思疎通構造などを総合的に点検するという。
三陟市は「今後、定期的な実態調査とモニタリング体制を構築し、人権侵害の予防と迅速な通報が可能なシステムを整える。また、実業団競技部協議会を新設し、選手団に関する苦情解決と権益保護に最善を尽くす」と強調した。
また、市関係者は「三陟市体育会スポーツ公正委員会が、陸上チームの監督に下した処分を重く受け止めている。今回の調査を通じて組織文化全体を診断し、再発防止策を講じ、選手たちが安全に競技に専念できる環境を整えたい」と述べた。
今回の調査の背景には、三陟市庁陸上チームのキム・ワンギ監督をめぐる一連の問題がある。キム監督は、仁川国際マラソン大会で指導選手に対する過度な身体接触があったとして、資格停止処分を受けた。
問題が起きたのは、11月23日に仁川・松島で行われた2025年仁川国際マラソン大会でのことだ。女子国内部で三陟市庁所属のイ・スミンが1位でゴールした直後、キム監督が選手に接触する様子が捉えられた。タオルを掛けようとする過程でイ・スミンを抱き寄せたが、選手本人は苦痛の表情を浮かべ、手を振り払っていたことが、のちに映像で確認されている。
これを見た一部視聴者からは、手の位置が不適切だったのではないかという指摘が浮上した。ただし、今回の懲戒理由は、世論が注目した「身体接触そのもの」とは直接関係がないとされている。
イ・スミンは11月25日に発表した声明で、「今回の状況を“性的加害”だと断定したり主張したことはない」としたうえで、「問題の本質は性的意図の有無ではなく、ゴール直後に予期しない強い身体接触を受け、激しい痛みを感じた点にある」と説明した。
さらに「当時は状況を把握することも難しく、その行為をした人物が監督だったと後になって知った。痛みと受け入れがたい行動に大きな衝撃を受けた」と述べ、「後日、監督に直接会い、『ゴール直後に強く引っ張られて痛みがあった』『あの行為は適切ではなかった』と明確に伝えた。また、瞬間的に手を振り払ったことで気分を害したなら申し訳ないとも伝えた。選手として礼儀を守りたかったからだ」と付け加えた。
しかしその後、事態はさらに拡大することに。イ・スミンは「具体的な謝罪や認識は一切なく、話をそらすような対応だった。問題となった行為についての謝罪もなく、その後も個人的にも公式にも、いかなる連絡もなかった」と明かしている。
一方、加害者とされたキム監督は「マラソンの特性上、女子選手はゴール直後に失神して倒れることも多く、安全のために支えるのは一般的だ。支えなければ転倒し、大きな怪我につながる可能性がある」と述べ、選手を守る意図があったと釈明した。
その後、三陟市体育会は12月10日にスポーツ公正委員会を開き、キム監督に1年6カ月の資格停止処分を決定した。公式な懲戒理由は、職権乱用、職務怠慢、人権侵害、ハラスメントとされている。キム監督および三陟市庁陸上チームの選手たちは、当該内容が記された懲戒決定書を受け取った。
この結果を受け、キム監督は「非常に悔しい」として、再審を請求していると伝えられている。
(記事提供=OSEN)
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