「私たちもこんなことは初めてで…」
サムスン・ライオンズの広報関係者は最近、忙しい日々を送った。6月9日に行われるサムスン・ライオンズ対キウム・ヒーローズの試合の現場取材の問い合わせが殺到したためだ。
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ほとんどの韓国メディアとテレビ局が大邱(テグ)サムスン・ライオンズ・パークに集まったのは、その日が元阪神タイガースのオ・スンファンが公式戦に復帰する日だったからだ。もともと設けられていた記者室のすべての席が完全に埋まり、サムスン・ライオンズ側は別の空間を追加で開放しなければならなかった。
サムスン関係者は、「追加で開放したスペースはポストシーズン進出時に取材陣が集まるために用意した空間だ。これまで開放することはほとんどなかったが、オ・スンファン選手の取材申し込みが集中し、開放することになった」と話し、“オ・スンファン復帰効果”に舌を巻いた。
取材陣は早々とサムスン・ライオンズの投手たちがキャッチボールする近くに集まり、トレーニングするオ・スンファンの姿を収めようと忙しかった。それだけ、この日のオ・スンファンの一挙手一投足は話題だった。オ・スンファンは普段と変わらず、明るい表情でチームメイトと試合前のトレーニングを行った。
日本とアメリカでの生活を終え、2019年8月に“古巣”サムスン・ライオンズに戻ったオ・スンファンは、海外遠征賭博疑惑で韓国野球委員会(KBO)から科せられた72試合の出場停止処分を消化した。
懲戒期間中、オ・スンファンは肘の手術を受け、完璧な復帰に向けて万全の準備を行った。春季キャンプにも本陣より先に先発隊として乗り出し、すぐにトレーニングを開始した。ホ・サムヨン監督は、「オ・スンファンは海千山千の経験豊富な選手だ。自分だけの経験とノウハウがあるので、自らコンディション管理を上手くやる」と固い信頼を表わした。
オ・スンファンは春季キャンプの練習試合と韓国で行われたチーム内の紅白戦に登板し、サムスンのユニホームを着た非公式復帰戦を行った。紅白戦では2試合に登板し、無失点のパーフェクトピッチングで健在をアピール。新型コロナウイルスにより、当初5月に予定されていた公式復帰戦が6月に押されたが、オ・スンファンは増えた準備期間を利用して6月9日に1軍に復帰した。
そして6月9日のキウム・ヒーローズ戦、7回表からブルペンで体をほぐし始めたオ・スンファンは、8回表にサムスンの5番手として登場した。3-4と相手に1点のリードを許した状況での復帰となった。
オ・スンファンは先頭打者パク・ジュンテに2塁打を許し、続くキム・ジュヒョンの送りバントで1死3塁といきなりの危機に追い込まれた。キム・ギュミンはファーストゴロで討ち取ったものの、ソ・ゴンチャンには四球を許し、危機は続いた。
それでもオ・スンファンは、キム・ハソンとの対決をキャッチャーフライで制し、失点することなくイニングを終えた。復帰戦もドラマチックだった。
本来の感覚を取り戻すためにはまだ数試合が必要なのかもしれないが、オ・スンファンの“ショータイム”が始まる予感は十分だった。
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