光州FCがアル・ヒラルに7失点大敗した試合内容は、韓国Kリーグ全体に再び警鐘を鳴らした。このままでは大規模な投資を続ける競争国に押され、ACLで競争力を失いかねないということだ。
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光州(クァンジュ)FCは4月26日(日本時間)に行われたAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)準々決勝で、アル・ヒラルに0-7で敗れた。ただ、大差での惨敗という結果ではあるが、韓国国内で光州を批判する世論は少ない。
それもそのはず、Kリーグ1でも予算規模が小さい市民クラブの光州が、イ・ジョンヒョ監督の戦術と選手たちの高いモチベーションによって、韓国勢で唯一アジア8強まで勝ち進んだからだ。
アル・ヒラルの総市場価値は1億8000万ユーロ(日本円=約292億円)で、光州(860万ユーロ=約13億9500万円)の実に20倍。準々決勝の先発11人中、自国サウジアラビア人選手はわずかに2人だった。
その代わり、モロッコ代表GKヤシン・ブヌ(34)、セネガル代表DFカリドゥ・クリバリ(33)、ポルトガル代表DFジョアン・カンセロ(30)、元ブラジル代表DFレナン・ロディ(27)、ポルトガル代表MFルベン・ネヴェス(28)、元セルビア代表MFセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ(30)、セルビア代表FWアレクサンダル・ミトロヴィッチ(30)、元ブラジル代表FWマウコム(28)など、欧州トップレベルで活躍してきたスター選手が総出場した。
過去のACLでも、トップクラスの外国人選手を1~2人程度補強して強力な攻撃力を示したチームはいた。だが、守護神からDFライン、中盤、前線までこれだけのレベルの選手が揃えたチームはほとんどいなかった。
潤沢な“オイルマネー”を握るサウジアラビアリーグは、数年前から各クラブがポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(40、アル・ナスル)をはじめとするスター選手を続々と獲得し、「脱アジア」レベルの戦力を整え始めている。サウジだけでなく、隣接するカタールやUAEも影響を受けている。
中東だけでなく、マレーシアのジョホール・ダルル・タクジム、タイのブリーラム・ユナイテッドなど東南アジア諸国のビッグクラブも、自国では比較できない規模の闘志によって、スター外国人選手の獲得に力を入れている。
一方、Kリーグは外国人選手枠と関連してさまざまな制限がある。そのため、このままではKリーグ勢が国際競争力を失い、「井の中の蛙」に成り下がるかもしれないという懸念も出ている。
実際、今回のACLEではKリーグ1で3連覇中の王者・蔚山(ウルサン)HD FCと、コリアカップ2連覇中の名門・浦項(ポハン)スティーラーズが、リーグステージでともに早期敗退するという低調ぶりを見せた。一時はアジアの舞台を席巻したKリーグが、いつの間にか“辺境”に追いやられかねない様相を呈している。
中東諸国がアジアサッカーの覇権を握り、国際サッカー界で影響力を強めるなか、ACLEが彼らに有利な方式へ再編されていることも一因となっている。
アル・ヒラル戦の「7ゴール・ショック」は光州だけの問題ではない。今後、Kリーグのどのチームも同じ目に遭う可能性がある。
光州以外に準々決勝でサウジ勢と対戦したチームでも、横浜F・マリノスはアル・ナスルに1-4、ブリーラム・ユナイテッドはアル・アハリに0-3と、いずれも“スター軍団”に大敗を喫して姿を消した。
Kリーグでは最近、国際競争力確保のため、ACLEのように外国人選手枠の制限を緩和すべきだという意見が出ている。
実際、ACLE準々決勝直後に行われたKリーグ1第10節では、国内の主要な監督たちも「リーグ全体で悩むべき時期が来た」と口を揃える。
蔚山のキム・パンゴン監督は、「中東に有利な方向で(AFCの)政策が展開されている。我々が毎年競争を続けるには、韓国プロサッカー連盟レベルで戦略的に悩む必要がある」と話した。
Kリーグ2の仁川(インチョン)ユナイテッドを率いるユン・ジョンファン監督も、「Kリーグがさまざまな規定に縛られる必要はないのではないだろうか。アジアの舞台など、より高いレベルを目指すためには考える必要がある。単にお金が多くかかると見るのではなく、サッカーの産業化という視点で捉えるべきだ」と提起した。
現在、Kリーグ内部では単なるクラブ予算の増額だけでなく、現状のKリーグ1外国人選手枠「登録最大6人、出場最大4人」などの規定も柔軟に運営すべきだという見方が支配的となっている。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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