大谷に「故意死球」発言もあった韓国投手、メジャーで見捨てられた?元セーブ王と思えない悲惨な今

2024年08月14日 スポーツ一般 #MLB #野球

メジャーリーグに挑戦した韓国プロ野球セーブ王の屈辱が続いている。

【写真】コ・ウソクの美人年下妻

米マイアミの現地メディア『マイアミ・ヘラルド』は8月9日(日本時間)、今年のマイアミ・マーリンズのトレードを振り返ったなか、コ・ウソク(26)の現在の立場に言及した。

コ・ウソクは韓国プロ野球の2023年シーズン終了後、ポスティングシステムを利用し、今年1月にサンディエゴ・パドレスと2年450万ドル(日本円=約6億4000万円)の契約を結んだ。

メジャー昇格できず、マイナーで大苦戦

ただ、悲願のメジャー挑戦は春季キャンプのオープン戦の時点から苦戦した。MLBワールドツアー・ソウルシリーズのため母国・韓国にも訪れたが、コ・ウソクの立場は危ぶまれていた。

結局、ソウル開幕戦直前に行われた古巣LGツインズ戦で本塁打を浴びた。事実上、開幕戦ロースターからの脱落を意味する信号弾だった。

コ・ウソクはソウル開幕戦当日の3月20日、マイナー降格が発表された。

パドレスなりの配慮で、AAAではなくAAで調整し、コンディションを引き上げることが期待されたが、AAでも適応に苦しんだ。パドレス傘下マイナーAAのサンアントニオ・ミッションズで浮沈を繰り返し、10試合の登板で2敗1セーブ1ホールド、防御率4.38という成績にとどまった。

そして、パドレスから“見切り”を付けられたコ・ウソクは、一度もMLBの舞台を踏むことなく、今年5月にマーリンズへトレードされた。

当時、1対4で行われたトレードでマーリンズから移籍したのは2年連続首位打者のルイス・アラエス(28)だった。今すぐではなくても、リリーフ陣の層が薄いマーリンズであれば、コ・ウソクもある程度チャンスを得られると見込まれていた。

コ・ウソク
(写真提供=OSEN)コ・ウソク

しかし、マーリンズでもコ・ウソクに対する視線は変わらなかった。トレード後はマイナーAAAでプレーを続けていたが、加入後1カ月で事実上の戦力外(DFA)となった。

それでも、再起を図ってAAA残留を選んだが、試練はこれで終わらなかった。7月12日にAA降格となったのだ。AAAでは16試合(投球回21回)で2勝1ホールド、防御率4.29という成績だった。

現在、コ・ウソクのマイナー通算記録は34試合で3勝2敗、防御率5.85にとどまっている。AA降格後も8試合で1勝、防御率13.50だ。9日にはAA降格後初セーブを記録したが、パフォーマンスが大きく向上したわけではない。

2球団から「見捨てられた」コ・ウソク

「パドレスは2022年の韓国プロ野球でセーブ王を獲得したコ・ウソクが、必須的な役割をする機会があると考えた。しかし、現実はそうならなかった」と『マイアミ・ヘラルド』は説明する。

当時、パドレスは守護神のジョシュ・ヘイダー(30、ヒューストン・アストロズ)を失った状況で、大金を投入せずリリーフ投手を補強することを望み、さらにはアジア攻略まで狙った。そして実際に、日本プロ野球のセーブ王である松井祐樹(28)と5年2800万ドル(約40億円)の契約を結び、その後コ・ウソクとも契約した。

だが、松井はコ・ウソクと対照的な活躍ぶりで、MLB全体でも優秀なリリーフ投手として位置づけられている。現在、松井は52試合で3勝2敗9ホールド、防御率3.42を記録している。

コ・ウソクは事実上、MLB2球団から“見捨てられた”と言える。まだ契約期間が残っているとはいえ、劇的な巻き返しがない以上、これ以上チャンスが与えられるかは未知数だ。

元々150km台後半を記録していたストレートの球速は、もう150kmすら越えるのが難しくなった。

AAAラスト登板だった今月5日のシャーロット・ナイツ(シカゴ・ホワイトソックス傘下)戦で、コ・ウソクのストレート最高球速は93マイル(約149.7km)、平均球速は92.2マイル(約148.4km)に過ぎなかった。

この程度の球速では、怪物揃いのアメリカで生き残ることはできない。特に、リリーフ投手としての競争力はさらに落ちるしかない。

ポスティングシステムでMLBに進出したコ・ウソクは現在、任意解約の身分だ。韓国に戻るためには、必ず古巣のLGツインズに復帰しなければならない。

ただ、すぐに復帰することもできない。任意解約から過ぎて1年が経過することで、ようやく復帰申請が可能となる。

今月9日に26歳の誕生日を迎えたばかりのコ・ウソクだが、早々にキャリアの分かれ道が迫っている。そして、崖際にさらに追い込まれているよう状況に陥っている。

コ・ウソク
(写真提供=OSEN)コ・ウソク

なお、コ・ウソクは昨年3月のWBC前、とある韓国メディアとのインタビュー内で大谷翔平(30、ロサンゼルス・ドジャース)との対戦可能性を問われた際、「真ん中に投げて(大谷が)ホームランを打つのかという考えが先に浮かんだ。本当にいざマウンドに上がったとき、投げるところがなければ、痛くないところに当てなければならない。(塁に)出して、次の打者と勝負する」と発言したことが“故意死球”を示唆すると捉えらえ、日韓で大きく批判が広がったことがあった。

ただ、コ・ウソク自身はその後、別の韓国メディアとのインタビューで「(最初は)“真ん中に強く投げたい”と話したら、(当時の記者から)“もう少し面白く話してほしい”と伝えられた。誤解の余地がある発言をしたことは自分の過ちだったが、ただの一度も“誰かにわざと当てろ”と野球を習ったことはない。それが一番悔しい」と、当時の発言に誤解があったことを告白していた。

◇コ・ウソク プロフィール

1998年8月6日生まれ。韓国・仁川出身。身長180cm。韓国のプロ野球選手。マイアミ・マーリンズ傘下マイナーAAペンサコーラ・ブルーワフーズ所属。高校卒業後の2017年にLGツインズでプロデビュー。2019年に韓国プロ野球史上最年少30セーブ(21歳1カ月7日)達成、2022年に42セーブでセーブ王に輝き、韓国プロ野球史上19人目の通算100セーブ到達。2024年1月にサンディエゴ・パドレスと契約するも、開幕直前にロースターを外れ、メジャー昇格なく同年5月にトレードでマイアミ・マーリンズに移籍も、同月31日にDFA。韓国代表では2019年プレミア12、2021年東京五輪、2023年WBC、杭州アジア大会に出場。2023年1月、元中日ドラゴンズのイ・ジョンボム(李鍾範)の娘で、イ・ジョンフ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)の妹イ・ガヒョンと結婚した。

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