「韓国の経済危機にも…」イ副会長の“実刑”の可能性で、サムスン電子の今後は?

2019年08月30日 社会 #サムスン
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韓国の最高裁判所がサムスン電子イ・ジェヨン副会長の二審判決(懲役2年6月、執行猶予4年)を破棄し、ソウル高裁に審理を差し戻した。

これによってサムスン電子は、“非常経営体制”を続けなければならない状況を迎えた。

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グループのリーダーであるイ副会長の経営活動に制約がかかることから、サムスングループ内部でも危機感と緊張感が高まっている様子だ。

財界からは、サムスンが半導体の業況不振による業績悪化に加え、米中貿易紛争や日韓葛藤で少なくない困難を経験しているなかで、イ副会長の再審は経営に一定の支障をきたすとの懸念が出ている。

そもそもサムスン側は裁判が行われる前、結果に対するさまざまなシナリオを想定し、複数の対応策を用意していた。

ソウル瑞草洞の最高裁で行われた今回の裁判には一部のサムスン職員も参席し、結果を見守った。「二審破棄、差し戻し」という最悪のシナリオも想定していなかったわけではないが、いざその判決が出るとため息が出た。

宣告が終わった直後、イ副会長を弁護したイ・インジェ弁護士は「最高裁が大統領の要求に応じた金品支援について贈賄罪を認めたのは残念だ」とし、「馬自体を賄賂として認めたことは、原審でも馬の無償使用を賄賂として認めていたため、事案の本質に影響を与える要因ではないと思う」と語った。

イ・ジェヨン副会長を弁護したイ・インジェ弁護士

最高裁判決が始まった午後2時以降から、サムスングループの系列会社の株価も揺れた。

朴槿恵(パク・クネ)前大統領の原審が破棄、差し戻しと結論づけられながら、サムスン電子やサムスン物産、サムスンバイオロジックスなどの株価はすべて下落。刑が確定した後からは、さらに下落幅が大きくなった。

今回の裁判で、サムスングループの経営権継承のための賄賂として認定された金額は、既存の34億ウォン(約3億4000万円)から50億ウォン(約5億円)にまで増え、量刑がさらに重くなる可能性が高まった。

最高裁の破棄差し戻し宣告によって、すぐにイ副会長が拘束されるわけではないが、再び裁判の準備をしなければならないため、経営活動に制約がかかるものと思われる。サムスングループの立場としても、再びリーダー不在の状況に備えなければならない。

一般的に差し戻し審には3~4カ月かかるが、再び上告して最高裁判決まで受けると考えると、最終判決までに1年近い時間がかかる見通しだ。また、イ副会長が経営権継承のために朴槿恵前大統領に不正な請託をしたと判断されたことにより、「証拠隠滅と粉飾会計」の疑いを受けているサムスンバイオロジックス社員に対する裁判にも速度が出ると思われる。

審理差し戻しが言い渡された直後の韓国最高裁

イ副会長は昨年2月の二審で執行猶予を宣告され、釈放された。その後1年6カ月の間に、国内外の現場を訪れ、積極的に経営に取り組んできた。特に米中貿易紛争と日本の輸出規制が相次いで起こると、緊急の社長団会議を主宰するなど非常経営をリードしてきた。

8月だけを見ても、温陽(オンヤン)・天安(チョンアン)キャンパス(8月6日)を皮切りに、平澤(ピョンテク)キャンパス(8月9日)、光州(クァンジュ)事業場(8月20日)、忠清南道(チュンチョン・ナムド)の牙山(アサン)ディスプレイ(8月26日)を相次いで訪問している。

悪化した経営環境を改善しようと現場をまとめ、従業員を激励し、代案を模索するなど、“サムスン総帥”としての存在感を示す歩みといえよう。

まだ決まった計画はないが、イ副会長は非常経営体制を維持し、当分の間、事業場の訪問を継続する方針だという。

(写真提供=サムスン電子)8月9日、平澤キャンパスを訪れたイ・ジェヨン副会長

明知(ミョンチ)大学チョ・ドングン名誉教授は、「今回の裁判は一種の政治裁判の性格が強い」と指摘する。

そして「サムスン電子が韓国経済に占める役割と比重は危険なほど高いが、最近、韓日関係の悪化まで重なり、経済が非常に危険な状況だ。裁判によって(イ・ジェヨン副会長は)活動に制約を受けることとなり、経営活動が制限されると経済危機につながる可能性もある」と述べた。

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