待ちに待った満開の桜の木の下には、思い出作りに励む人々であふれかえっていた。
しかし、観覧客が去ったあとに残っていたのは、桜の花びらではなくゴミだった。
ソウルの汝矣島(ヨイド)では3月29日から4月2日にかけて、韓国最大の祭の一つである「桜祭り」が行われた。
開花時期が予測よりも少々遅れたため、9日まで見頃が伸びていた汝矣島の桜。翌日には青々とした緑の葉が咲き始めたが、周辺は依然として花見客で賑わっていた。
露店で賑わい、周辺の商店や出前のチラシも飛び交っていた祭の会場。一方で、桜の美しさが霞むほどの民度の低い花見客も少なくなかった。
9号線の国会議事堂駅につながる国会周辺の通りは、ゴミ処理場を彷彿させた。特に、道路沿いの小さな公園には、タバコの吸殻から割れたガラスまで、さまざまなゴミで溢れていた。周辺のビルを管理しているAさんは、「耐えられない」と舌打ちしたほどだ。
また、ほとんどの区域は禁煙に指定されたが、客の一部があちこちでタバコの煙を噴き出していた。ベビーカーを引いていたBさんは、「PM2.5の影響でマスクをしていたが、それよりさらに酷いのがタバコの煙」と顔をしかめている。
タバコやゴミだけではない。道路まで占領した行列は車の移動を妨げた。周辺を通行する車は待機時間だけで15分以上かかり、バスも無理に搭乗しようとする乗客のせいで遅延していた。
そして迎えた夜。少しは落ち着くかと思われたが、暴走族のターンだった。22時から翌4時まで、荒いエンジン音の車とバイクが疾走し、街にはコンビニでお酒とおつまみを買ってきて、声高らかに歌う人も少なくなかった。
国会前で24時間営業の飲食店を運営しているCさんは、「普段も日が暮れると国会前の道路の車両数は減り、夜明けまで暴走車両が走っているが、祭期間の深刻度は一線を越えた水準」だったとし、「警察に通報しても知らんふりされる雰囲気」と話す。
国会周辺には、警護のための警察バスが毎日駐車されてり、警察官が常時待機している。彼らの前でもゴミをポイ捨てしたり暴走したりする客の姿があったが、警察は「私たちの業務ではない。管轄の署に通報せよ」というだけだった。
桜の美しさと反比例するかのような人間の愚行。改めて民度の低さが浮き彫りになってしまったようだ。
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