フィリピン人女性11人を不法に雇用した容疑で起訴された、故チョ・ヤンホ韓進グループ会長の夫人イ・ミョンヒと、その娘で“ナッツ姫”として知られるチョ・ヒョナ元大韓航空副社長が、1審で懲役刑の執行猶予を言い渡された。
ソウル中央地方裁判所刑事15単独アン・ジェチョン判事は7月2日、偽計公務執行妨害と出入国管理法違反などの疑いで起訴されたイ・ミョンヒ夫人に、懲役1年6カ月・執行猶予3年を宣告し、160時間の社会奉仕を命じた。
チョ・ヒョナ元副社長には犯罪容疑を区分して、懲役1年・執行猶予2年と、罰金2000万ウォン(約200万円)がそれぞれ言い渡された。120時間の社会奉仕も命じられており、ともに起訴された大韓航空法人は、罰金3000万ウォン(約300万円)を言い渡された。
2人に言い渡された裁判所の宣告刑量は、検察が求刑した罰金3000万ウォン、罰金1500万ウォンよりも重い刑量だ。
【関連】“ナッツ姫”に「傷害」「児童虐待」の疑い。離婚訴訟中に夫が告訴
裁判所は「総帥の配偶者と娘という立場を利用して、大韓航空を家族経営のように利用し、その指示に従うしかない従業員に不法行為を加担させた」と指摘した。また「その過程で大韓航空の公金で費用が支給されることもあった」とし、「被告人の犯行は、安全な国境管理と外国人在留管理、外国人雇用を通じた就職市場の安定と社会統合を図る国家機能に打撃を与えた」と強調した。
さらに「被告人らが犯行の一切を認め、反省していることは有利な情状」としながらも、「不利な情状を考慮すると、有利な情状と検察の求刑を参酌しても、罰金刑は避難の可能性に相応する刑とはいえない」とし、懲役刑を選択した理由を明らかにした。
特にイ・ミョンヒ夫人については、「不法雇用を認識して家事手伝いを帰国させたと主張したが、そうではない状況が見られる」としながら、心から容疑を悔いているようではないと指摘した。
イ・ミョンヒ夫人はチョ・ヒョナ元副社長とともに、2013年から2018年初めまでフィリピン人女性11人を大韓航空職員のように偽装して入国させ、家事手伝いの仕事をさせた疑いで起訴された。イ・ミョンヒ夫人が6人、チョ・ヒョナ元副社長が5人の家政婦をそれぞれ不法に雇用していたことがわかった。
また大韓航空は2人の指示を受けて、フィリピンの支店を通じて家事手伝いを選抜し、現地の優秀職員として本社の研修プログラムを修了したと偽り、一般研修生(D-4)ビザの発給を受けた。
韓国で家事手伝いとして働くためには、在外同胞ビザ(F-4)や結婚移民ビザ(F-6)など、韓国人に準ずる在留資格ビザの発給を受けなければならない。
前へ
次へ