韓進グループのチョ・ヤンホ会長の突然の死去後、総帥の座をめぐり、3人の兄妹間に葛藤が広がっているようだ。
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3人の兄妹、長男チョ・ウォンテ、“ナッツ姫”こと長女チョ・ヒョナ、“水かけ姫”こと次女チョ・ヒョンミンの間で、経営権をめぐる内紛が勃発したのではないかという憶測が出ている。
韓進家の3兄妹に葛藤の兆しが見えはじめたのは、公正取引委員会が大企業集団の指定発表日を来る5月15日に延期すると明らかにしてからだ。公正取引委員会は当初、5月9日に発表する予定だった2019年度の大企業集団指定の日付を、5月15日に延期した。5月8日に韓進グループが資料を提出できなかったため、日程を延期したのだ。
“財閥”と呼ばれる大企業集団指定の肝は、「企業集団の総帥が誰か」である。総帥が誰になるかに応じて、所属企業の範囲が変わるからだ。そのため公正取引委員会は、4月12日までに各企業集団の資料を提出することを要求した。
しかし韓進グループの総帥であったチョ・ヤンホ会長が4月8日に死去し、韓進は期限内に資料を提出することが難しくなった。公正取引委員会はすぐに期限を5月9日に調整したが、その期日までも韓進は資料を提出できなかった。
韓進側は5月3日、公正取引委員会に「既存の同一人であるチョ・ヤンホ会長の死去後、次の同一人を誰にするかについて、内部的な意思の合意がなされず、同一人の変更申請ができないでいる」という内容の公文書を送った。これは、3兄妹間で合意がなされていないことを意味する。
韓進グループを支配している韓進KALの故チョ・ヤンホ元会長の持分がどのように分配されるかによって、グループの経営権が決定される。韓進グループは、持株会社の韓進KALが大韓航空やジンエアー、静石企業などの系列会社を支配する構造になっている。故チョ・ヤンホ元会長は韓進KALの株式を17.84%保有している。
長男のチョ・ウォンテ会長は2.34%の株式を保有しており、“ナッツ姫”チョ・ヒョナ元大韓航空副社長は2.31%、“水かけ姫”チョ・ヒョンミン元大韓航空専務は2.30%で、3兄妹が似たような割合の株式を持っている。先月、韓進KALの理事会がチョ・ウォンテ大韓航空社長を会長に選任し、経営権の継承問題は解決されるかに思われた。
しかし現状を見ると、故チョ・ヤンホ元会長の遺言が公開されていないなかで、彼の持分をめぐって3兄妹に葛藤が生じているのではないかという声に説得力が出てくる。
韓進家にとって最も火急な問題は、経営権の防御だ。
韓進KALの2大株主である、私募ファンドKCGIの持分が14.84%に達している。チョ・ウォンテ会長をはじめ、チョ・ヒョナ、チョ・ヒョンミンの3兄妹と、その母イ・ミョンヒ元イルウ財団理事長が団結しなければならない理由だ。韓進家が一丸となって経営権を守るか、“お家騒動”で経営権までも揺れるのか、重要な分岐点に立っている。
公正取引委員会に同一人変更申請書を提出できていない理由としては、故チョ・ヤンホ元会長が持つ韓進KALの株式の相続に必要となる、莫大な相続税も一役買っているように思える。
同一人の指定資料には、相続税の納付計画も明らかにしなければならないからだ。
故チョ・ヤンホ元会長の相続税の申告期限は、10月31日。5月9日基準で、チョ元会長の韓進KAL保有株式の価値は約3879億ウォン(約388億円)に上る。相続税率50%を踏まえると、相続税だけで2000億ウォン(約200億円)に達する。これは韓進家の3兄妹が保有する株式の価値を考えると、少なくない負担となる金額だ。
公正取引委員会は韓進グループの資料の提出が遅れる場合、職権で同一人を指定する案も検討中だ。公正取引委員会の関係者は、「韓進に対して指定日までに資料を提出し、同一人指定に支障がきたさないように督励する」とし、「提出が遅れる場合は、職権で同一人指定をどうするかを検討し、その結果を反映する」と明らかにした。
公正取引委員会は昨年、職権を使って、サムスングループの同一人をイ・ゴンヒ会長からイ・ジェヨン副会長に、ロッテグループの同一人をシン・ギョクホ名誉会長からシン・ドンビン会長に、それぞれ変更している。
一方、公正取引法に基づく指定資料提出要求に対して、正当な理由なく資料提出を拒否したり、虚偽の資料を提出したりすると、2年以下の懲役または1億5000万ウォン(約1500万円)以下の罰金を科される。
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